シリンダーヘッド加工の補足




※以下、ヘッド加工の補足となりますので、さらなるコンセプトをお知りになりたい方はご覧下さい。


さて、こちらでは当方の燃焼室設計&作製での「売り」をご紹介しておきます。
基本的に当方では、適正な圧縮比は当然としておりますが、「燃焼室形状」よりも「スキッシュエリア周辺」
形状、寸法、クリアランス等を最重要視して燃焼室設計を行います。

この方向性のヘッドチューニングはあまり無いと思いますが、当方としましては「爆発後」の燃焼効率より
「爆発前の混合気の燃焼室中央への収束・圧縮率」の方に重点を置いていると言う事が大きいです。
仮にいくら圧縮比を高めたとしても、そのヘッド内燃焼室に「混合気が効率よく集まらない」のでは
爆発の効果が薄いばかりか、「かなり高めの圧縮比設定にしないとパワーが出せない」という、
危険度の高い方向性になると分析していますので。


なお多少の捕捉としまして、圧縮にて発生する「力」というものは、「ピストンを叩く力」になります。
少し表現が分かりづらいかと思いますが、「エンジンを高回転させる=クランクシャフトを速く回す」為には、
その圧縮比も含めた「ピストンを叩く力」が弱くても駄目なんです。

なので、圧縮比はある程度ないとクランクシャフト=エンジンは高速回転出来ないんですね。
もちろん、圧縮比が高すぎたりチャンバーの効果が強すぎたりすればポンピングロスが起こってしまい
エンジンの高回転化の妨げにもなりますが、圧縮比は低すぎても駄目、と言う事も念頭に置いて頂けると
幸いです。
(元々圧縮比の低いエンジンであれば、圧縮比を上げただけで最高回転数まで上がったりする事もあります)


そして基本的に当方は、各部においてきっちりとした性能の出る容積や寸法を求めたいが為、設計や
加工にて誤差等が出やすい物や手法は取り入れておりません。

近年流行の「半球形燃焼室」等、物理的に素晴らしい物も手法としてはあるのですが、この形状ですと
はっきり言いますが当方の力量ではチューニングに取り入れることもヘッドの作製も不可能に近いです。

ですので、当方では設計との容積誤差は0.1cc程度に留めたいのもあり、「半球形状」でのシビアな
容積設計が出来ない、もしくはスキッシュを二の次としたつじつま合わせの容積変更の手法は取れない、と
いった理念に基づき、「半球形燃焼室」の作製は不可能、とさせて頂きます。

もちろん、「半球形燃焼室」を否定しているのではありませんし、当方でも出来る事ならば取り入れたいです。
ですが、当方ではそれは圧縮比を決定する上でのチューニングパーツ作製手法として無理がある上に、
「不確かなチューン」になってしまうという事になり、涙を呑んで不採用としておりますので誤解無き様に
お願い致します。


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