シリンダーポート加工の捕捉



※以下、ポート加工の補足となりますので、さらなるコンセプトをお知りになりたい方はご覧下さい。


先述の様なポートタイミングの決定においては、基本的に「クランク角度」にて物を考えないと難しい事は
お分かり頂けたかと思います。

特に掃気ポートのタイミングと言うものはかなりシビアで、車種や構成にもよりますが仮に0.5o程度の
「高さ」の違いがある場合でも、クランク角度では3〜4°の差が出てしまう、といった事もあります。

これらを適当にやってしまうと…仮にノーマルマフラー仕様でパワーバンドが低めなのに、高回転型の
ポート加工を限度を超えて行ってしまった場合、ノーマルマフラーのパワーバンドとシリンダーとの
パワーバンドの同調がずれ、とんでもなくおかしな特性のエンジンになってしまいます…
言葉が悪いかもしれませんが、「いくらセッティングしてもきっちりパワーが出ない」事になりがちです。

こういった現象を防ぐ為、「シリンダーの上から何oのポート」といったおおまかな数値は、シリンダー等の
寸法がある程度固定されているノーマル車で無い限り一切用いません。
何故ならば、ノーマルから少しタイミングを変えるだけならばともかく、o単位で大きく加工していく場合には
クランク角度でポートタイミングを決めないと絶対に正確な特性が導き出せないからなのです。

なお「排気ポート弦長」も同様ですので、きっちりと「ボア径の何%」といった管理を行います。
スタッドボルトの対角線を基準、といった等の手法は一切行いません。


そして同一品番、同一品のシリンダーでも、実際にシリンダーの全長がわずかでも異なっていると、上から
何oという加工数値では、同じ加工を施した所で同一の仕様にはなりえません。

もちろん、ピストン全長が違っていたり、上死点での「肩落ち」が異なる場合等も同義で、この辺りを出来る限り
うやむやにせずきっちりとした設計&加工を施すのが、当方の「ポート加工」となっております。
純正品ではまずありえませんが、社外品ピストン等の場合は同一メーカーの同一品といった物でも必ず
各部寸法を計測し、きっちりとしたポートタイミングと圧縮比を算出してから設計・加工を行います。

なお、特に2種車両ですとノーマルで非常にデチューンされている物が多く、まずは排気ポート弦長を常識的な
所まで拡大し、出来れば圧縮比も適正値まで修正してやらないと、他をいくらチューンしても効果が薄いと
いう事がほとんどですので、まずは1種でも2種でも一番にポート加工を行なわれるのを当方はお薦め致します。


上記の様な手法ですと車種問わず正確なタイミング等が割り出せますので、1種2種問わずお受け出来る
車種の限定、制限は基本的にありませんのでまずはご相談下さいませ。

ただし、当方で把握出来ない「コンロッド長」のエンジンにおいては、クランク角度の計算そのものが
出来ませんので、非常に特殊なエンジンの場合は計算が不可能な場合もありますのでご了承下さい。


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