とりあえず未公開コンテンツから「ドライブ側ベルトかかり径」の解説を抜粋してしたためておきます。
これは最少変速状態の時に、ボスにベルト裏が接触していないかどうかを判断するのに有効な
手法になります。
まずは駆動系パーツを組み込みエンジンをかけ、一度ベルトを「張った」状態にし、その上でエンジンを止め駆動系をばらさず、写真の様にマジックを使いベルトの外周側に沿って線を引いていきます。
マジックを固定したままドライブフェイスを回転させるとマーキングしやすいです。
注意点は「ベルトのかかっている部分の外周」をなぞる為、マジックを当てる部分は写真の様に「エンジンの進行方向側」の一番はじっこになります。
写真では下からマジックを入れていますが実際の計測ではこれは不可能なので、上からでもOKです。
ベルトのかかりが一番小さくなっているであろう部分にマジックを当て、ドライブフェイスを回してやれば
ほぼ正確に「ベルトかかり径」の外周の寸法が取れます。
マジックを当てたままフェイスごとドライブユニットを回転させるとプーリーのベルト摺動面にはこういった円が描けます。
計測したいのはベルト最外周部分がかかっている「径」なので、マジック線の内側をノギスで計測します。
Dio系のフルノーマル構成でベルト幅も減っていない状態だとおおむね44〜45φ程度になるはずです。
そして、この 「最少変速状態におけるドライブ側ベルトかかり径」の数値を把握した後、この状態にて
ベルト裏側からボスまでに、どの程度の余裕(隙間)があるかを判断しましょう。
まず、これには「ベルトの厚み(幅じゃないですよ)」を計測して把握します。
23100-GAGー751とかGR1-753とかGAG-J52とかのホンダ純正ベルトであればおおむね「8.5mm」程度が
基準となりますが、社外品とかだと厚い物があったりするので必ず実測にての把握が必要です。
そしてホンダのプーリーボス直径は20o、これを基にしつつ先程の「ドライブ側ベルトかかり径」をあてはめ
ボスまでの「余裕」を計算していきます。
図中では実測でのベルトかかり径を「40φ」としていますが、この状態でベルト厚みが8.5oでボスが20φの
構成であるとすれば、ベルト裏からボスまでの距離はわずか1.5oしかありません。
これだと50ccでのハイチューン程度ならば許容範囲ですが、ニ種でハイチューンした程のパワーを出して
しまうと、場合によっては発進時にトルクカムで挟まれて張られたベルトがボス側に向かって食い込み、
ベルト裏とボスが接触してしまうという事が起こります。
ベルトがある程度減っても大丈夫な様に十分に余裕を持つならばここは2o程度の余裕は欲しい所ですね。
そうなると駆動系としては真っ当にドライブ側のベルトがグリップせず、ベルトが滑り続けるので半クラッチが
消滅し、発進から一気に変速回転数までエンジン音が上がり、ベルトだだ滑り状態になってしまいます。
半クラが起こっている「音」というものはフルノーマル車でも無い限り絶対に存在せねばならず、阿呆の様に
無茶苦茶な落とし込みを行っているとこのベルト裏からボスまでの余裕がなくなり、まともな駆動系構成では
無くなってしまいますね。
この半クラ無しのベルトだだ滑り発進にはトルクカムの閉じ具合も影響しますが、そちらは駆動系コンテンツを
ご覧下さい。
で、仮に上記のDio系のベルトかかり径がノーマルで「45φ」あったとすればベルト裏とボスの距離は「4o」も
ありますが、これだとベルト幅が1o減ってベルトかかり径が4φ程度小さくなったとしても、ベルトかかり径は
41φなので、裏とボスの距離はまだ余裕があります。
ボスワッシャー追加等のドライブ側ベルト径の変更は、こういった「ベルトが減った時の余裕」を犠牲にして
クラッチイン回転数の向上や変速比のローギヤード化を行っている訳です。
社外品プーリーを入れたりした場合もこの計測手法は役に立ちますし、ノーマルでどのくらいなのかをまず
基準として把握していれば、このプーリーだと明らかに落とし込みすぎだろ、といった事も簡単な計測から
把握する事が可能ですし、ボスワッシャーの増減もきっちり行えますね。
最低限度、これらの計測を把握する事も駆動系バランスを保つ為に必須な事ですのでお気をつけ下さい。