さてさて。久しぶりのこのコーナーですが。
今回はちょっと視点を変え、一般的にはあまり注目されていないかと思われる、「冷却」について
スポットを当ててみたいと思います。
「冷却」と言えば…2st50ccスクーターの場合は基本的にエンジンの冷却は「強制空冷」という
システムになっていますね。
これは皆さんご存知の通り、クーリングファンにて空気を取り込み、シリンダー&ヘッドに当てて熱を奪い、
そして排出するという実にシンプルかつ効率の良い手法になります。
もちろん、FNマシンに限らずFPや街乗り等の通常の冷却方式のエンジンであれば、この強制空冷システムの
冷却効果がエンジン冷却のメインとなる訳ですが…
これ、当たり前かと言われる&思われるかもしれませんが、私の環境においてはあまり気にしている方が
居なかったというのもあり、ツボみたいな物をひとつだけご紹介しておきますね。
とはいってもこれは無茶苦茶単純な事ではあるのですが。
その問題とは…
プラグキャップ部分のフタ
なんですけどね(笑
なんでこんなモンが?と思われるかもしれませんが、これは意外と大事な役割をしているんですよ。
通常、プラグキャップが純正であれば、どのメーカーもプラグキャップの周りには、傘の様なゴムのフタが
くっついてますよね。
これ、プラグキャップを交換してしまうFNにおいては、取っ払われている方が多いと思います。
ですが…このゴムのフタを取っ払っただけでも、強制空冷システムの冷却効率というモノが
結構低下してしまうんですよ…
なにをアホな、と思われるかもしれませんが、クーリングファンからの空気の吸い込みってヤツは
エアシュラウドのエア排出口に手をかざしてみると良く分かるのですが、アイドリング程度の回転数でも
結構強力ですよね。
これが、プラグキャップ周辺に明確な穴が開いてしまっている状態だと、かなりの勢いで
冷却風が排出されているんですよ。
んなバカな、と思われる方は是非一度プラグキャップのゴムを外してからその辺りに手をかざしてみて下さいな。
とまあ、このたった一つの「フタ」が無いだけでも、通常エンジン右側から冷たい外気を取り込み、強制的に
シリンダー&ヘッドの空冷フィンに当て、熱を奪ってから排出されるというシンプルな構造に対しての
結構なロスになっているんですよね。
これ、ちょっと話はズレますが、チューニング車でトラブルで焼きついたりする場合、プラグキャップのフタが
無い状態だと、シリンダーの左半分ばかりダメージが大きくなるという、ウソの様なホントの話も
実際問題としてあるんです。
要は、セッティングミス等の熱トラブルが起こっても、腰上の左半分が右半分に対して冷却効率が低い、と
言う事にもなりえるんです。
どう考えても、プラグ穴部分から風が逃げているのであれば、腰上の左半分には冷却風が圧送されにくくなり、
結果的に冷却効率は右半分に対して低い、という事ですね。
いつも通り簡単な絵でご説明しますと、
こんな感じですね。
これは別にFNマシンに限った事では無いのですが、たったこれだけでもエンジンの冷却効率に対しての
安心感を得られるのであれば、やっておいて損は無い手法だと思いますよ。
あ、ちなみに私も社外プラグキャップは大好きなんですが、もちろんゴムフタは装着していますよ。
今愛用しているのは某パワースパークのレーシングタイプですが、ゴムのフタはちゃんと装着しています。
後、ライブみたいにエアシュラウドが左右分割式の場合、左右のエアシュラウドの合わせ面に極力隙間を空けない様に装着するのも大事です。
ある程度は仕方ありませんが、装着不備や割れ等がある状態では100%の冷却効率は得られませんので…
そして、この写真ではエアの排出口のゴム(写真右側)も付いていますが、これも大事だと私は考えています。
「エアの出口」になる訳ですがら、開口部が極端に広いと、シリンダーやヘッドの側面まで丸出しになってしまい
エアの排出される流速は落ちるかもしれませんが、「ヘッドから下がってきた冷却風」が下側に回りにくくなり
これもあまり宜しくないのでは、と分析しています。
仮に多少エア出口が狭まった所で、フタが無かった場合プラグ穴部分からでも強烈にエアを噴き出す程の
風量のあるクーリングファンなので、その程度では「風の流れの抵抗」にはならないかとも読んでますよ(笑
逆に風量に対し、出口を大解放してしまう方が冷却効率悪いんじゃ、と…
…ライブの場合はキャブヒーター通路(?)があるので、このエア排出口はちゃんとした形を成していますが
縦型系のDioでもゴム板で出口周辺の通路の整形は行われており、無駄なシステムにはなっていません。
コチラのコーナーではあまり書いていませんが、こういった細かな部分でも、
メーカーさんは馬鹿ではない
と言う事ですね。
私は別に純正が一番、って信者ではありませんが、きちんと考えられている部分はちゃんと意味がある、と
言う事を理解しましょう、と言う事ですね〜
と、これだけでは「FN仕様Dio」のタイトルの意味がありませんので、ここいらで上記に関連する事をもういっちょ
お話しておきますね。
上でちょっと出した、マニホールド&キャブに温風を送る「ホットエアダクト」に関してですが。
これもですね、通常は整備性の面で取っ払ってしまう方が多いと多いと思いますが、私は状況によっては
このホットエアダクトを装着していますよ。
とはいっても駆動系やキャブの整備性を考えるので最低限、こんな感じですが↓
どっかで書きましたが、キャブ周辺はエアスクリュー等の整備性を考えてエアクリカバー側をカットしています。
前方のホットエアダクトは、マニ&キャブへきちんと温風を送れるLVで装着していますね。
この写真では仮止めなのでボルト入ってませんが、走る時にはちゃんと締めますんで(笑
電動インパクト使用が当たり前の現在だと、ボルト2本程度ならば別に手間にもなりませんし、ね。
で、なんでこんなわざわざ手間のかかる事を行ってるかと言いますとですね、
「エンジンの温度管理&安定化を狙っている」
からなんですよ。
ライブって基本的に、マニホールドがアルミ製の上、必要以上に「長く」取られていますよね?
なのでこのダクト、、完全に取っ払ってしまってはエンジンの熱管理、ひいてはキャブセッティングにも
結構な影響を及ぼすという事があるんです。
これ、サーキットで朝一に車両を暖機し、そのままコースインして数十分連続で走ったとしますよね?
そしてピットインしてマニホールドを触ると…冷たいどころか冬場だと水滴が付いているという状況を
ダクト無しのライブDio乗りの方なら絶対一度は経験しているはずです。
特に冬場は顕著で、30分走ってもエンジンからの余熱でマニホールド部分が温まらず、走行後でも
適正温度までマニホールド温度が上昇していないという事になります。
いくら走行を重ねても、外気温が低ければキャブ以降には冷たすぎる混合気が通るので、
キャブ&マニホールドはそれに気化冷却も加えオーバーに冷却されっぱなし、と言う事なんです。
と言いますか「冷たすぎる」状態では「混合気の噴霧化」も上手い事行くはず無いですし。
これではキャブセッティングなんて上手い事出来たモノでは無いんですよ。
エンジン全てを適正温度まで上昇させてからセッテイングを取らないとあまり意味がありませんからね…
私も昔はさほど気にしていませんでしたが、下手をすると夏場でもマニホールドが汗をかいているという
セッテイングに陥った事があり、改めてホットエアダクトを採用して色々な環境にて走行してみると
真冬だろうが雨が降ろうがマニホールドに水滴が付くLVになる事は無くなりましたよ。
もちろん、中開度域が非常に気難しいライブキャブでも、かなりセッティングの安定性が出る様になり、
雨のレースにて「アクセルちょい開け」を行った時等でもちゃんと反応の良いセットを行う事が出来ました。
外気温が低い時や雨等でエンジン温度の安定性が得られにくい場合は、かなり有効な手段だと思います。
(雨なんかでもマニ&キャブがちゃんと適正に温められていると、レスポンスも良いですしね)
とまあ、何の事は無い、「純正で採用されているモノ」の必要性&効果を再実感、と言いますか再確認した
だけのお話になりましたが(笑
レーサーだからといってなんでもかんでも取っ払えば良いって物ではない、と言う事なんですよ。
ちなみに私、雨降ったらリヤタイヤの上のフェンダーも付けて走行します。オイルポンプとかに何か悪そうで
気に喰わないんですよ(爆
後、リヤフェンダーも最低限残していますね。砂とか巻き込みたく無いので…
そして最後にもう一つだけ。
キャブセッテイングについてですが、上でも書いた通り、エンジンが適正の温度に達していなければ、
その状態でいくらキャブを合わせても100%ではない、と言う事なんですが。
基本的にMJはある程度絞り、適正な混合気を作り出してやるのが本来の目的ですが、これもやりすぎは
禁物で、朝一にエンジンをかけPIT内をちょこちょこ走っただけでセットしても意味が無い、って事ですね(笑
さすがにレースやってる方であればここまで適当な人は居ないと思いますが、モノの例えと言う事で
よろしくです〜