2016年版 FN仕様ライブDio-ZXについてのまとめ その3



さて今回も前回のコンテンツに引き続き「FN仕様ライブDio-ZX」のまとめになりますが…

すでに2016年度版というのがタイトル詐欺になりつつあり、これ書いてるのは2018年です(汗

とはいえ、その年月の間に熟成と言いますか多少は書き記せる事柄も出てきた面もありますので

それもふまえて今回は「足廻り」のあれこれを記してみたく思います。


※当コンテンツより以前にある同部位のあれこれに関しては、すでに10〜15年以上前の物になって

おりますので、今回の最新コンテンツとは趣が異なるといった点にはご留意下さい。


※そして最初に記しておきますが、結果的に「速ければ良い」「細かい事やっても無価値」といった

思考形態の方であればこんなコンテンツを読んでも時間と人生の無駄なのでスルーして下さい。

私はココに訪れる方々に困ったり迷ったり損をして欲しくないが為にこれを記している、と

いった点、何卒お忘れなき様にお願い致します。



※いつものコンテンツ内目次リンクです。



・フロントフォーク


ライブDio-ZXのHDフォーク

さて、まずはフロント廻りと言いますかフロントフォークから記してみたいと思います。

FNというカテゴリではフロントフォークにおいては「油面、油量の変更のみ可、加工は一切禁止」といった

レギュレーションなので、実際にはほとんどやれる事はありません。

しかしライバルマシンとなる3YK-JOGのグリスダンパーよりははるかに調整幅が多く、ライブDioであるが故の

メリットを打ち出せるので、やれる事はしっかりとやっておくべきですね。

…それでもしなやかさといった余裕や初期旋回力においては3YKには負けるのが現実ですが(泣


まずは以前のコンテンツでもご紹介していますが、中古フォークであれば何はなくともまず最初に

「シートパイプリングを新品交換」しましょう。

これは内部シートパイプとインナーチューブ内側のシーリング性を保つパーツであり、エンジンにおける

ピストンリングと同義なので、これが磨耗しているといくらフォークオイルを変更しても減衰力の変化が

小さくなりますね。


交換必須のシートパイプリング 今の時代、中古フォークが前提ということもありますけどインナーチューブが曲がっていたりする事はあまりありませんが…内部の磨耗は進んでいるものが大半なので。

インナーチューブは分解した上で物差しを当て曲がっていなければ多少の磨耗やサビは致し方ありませんが、オイルダンパーとしての減衰力を生むここのパーツだけは絶対に新品交換すべきです。

と言いますかこれを換えないならフォークオイルだけ換えても意味は半減しますよ(汗


ちなみにこのシートパイプリング、ライブDio-ZXのフォークの場合はシートパイプ側、インナーチューブ側共

それなりのクリアランスにて密封性を高いレベルで保っていますが…

世の中には新品でも設計上そうではないタイプの構造のモデルがあったり、インナーチューブの底部分の

シートパイプが通る「穴部分」のクリアランス具合で減衰力を調整しているモデルもあったりします。

あくまでライブDio-ZXのフォークだとそれらはあまり気にする事はなく、シートパイプリングの劣化が大きな

デメリットをもたらす、といった事なのでその点は誤解無き様にお願い致します。


なお、わざわざ記すまでもありませんがダストシール下のオイルシールも新品交換はしておくべきですが、

一度交換すればよほどの事が無い限りオイル漏れは起こらないので、「最初」だけは新品交換すべきです。

(…と言いますか純正部品のフォークシールセットはダストシールとオイルシールの両方セットですし)

大抵の場合、シールが漏れ出す要因としてはインナーチューブの曲がりやステムのアンダーブラケットの

曲がりによるものですし、点サビにしても少々の事であればいきなりシールが破かれる、という事も無いので

インナーチューブの点サビ程度ならカッターの刃を当ててこそげ取っておけば充分使えますしね。



次に、減衰力を生む為のパーツである「シートパイプ」ですが…これは私は純正互換を行って組み替えて

運用しています。

上の写真にある様に私は見た目的な好みもありますが基本的に96年式の「銀フォーク」と呼ばれる物を

好んでいるのですが…実はこれ、アウターチューブのみが96年式銀フォークでシートパイプのみ97年式〜の

金フォーク用の物だったりしますよ(笑


これは何故そうしているか、と言いますと…基本的に銀フォークのシートパイプと金フォークのシートパイプを

比較すると、金フォークシートパイプの方が伸び側のオリフィスが小さくなっており(2φ→1.5φ)、位置も異なるので

奥の方でしっとりとした伸び具合になる為、こちらを好んでいますね。

かつ、これはもちろんボルトオンにて双方の互換性があるのですが、銀フォークアウターに金フォーク用の

シートパイプのみを入れると、「装着位置の関係でインナーチューブの位置が3o程度上がる」

といった構成変更になります。

単純にこれはシートパイプ全体が3oかさ上げされる事になるのですが、そのメリットとしてそのわずか3oでは

ありますが、フォークストロークが増える、というメリットが出せるんですよ。


左が銀用で右が金用です 左側が銀フォーク用シートパイプで右側が金フォーク用シートパイプになります。

見ての通り、アウター底部分へ当たる部分の寸法が異なっている為に、全体的な3oのかさ上げになりますね。

…なお、厚側伸び側共にオリフィス穴の絶対位置が変われば「利くポイント」も変わってくるのでは?と思われる方もおられるかと思いますが…

正直、私の体感ではそれはほとんど感じ取れませんでしたね(汗



3oの差 これが実際に銀フォークに双方のシートパイプを組み込んだものの比較になります。

下側のアクスルシャフト穴を固定して比較していますが、左側の金フォークシートパイプ仕様の方が「長く」なりますね。

たかが3oされど3oではありますが…正直これは走行における前後バランスの差を自身で体感し、必要となってくれば採用、といったレベルで良いでしょう。


この様に単純にインナーチューブの位置を上げ、3o程度のストロークを稼ぐといった手法になります。

ただしその反面、3oではありますが0Gおよび1G沈下時のフォーク全体の長さは3o増えるのでそこは

一考が必要です。

とはいっても実用ストロークとしては私は実質56〜57o程度なので、底突きまでの余裕を少しは持たせると

いった狙いなので、パーツがあればやってみておいても悪くは無いでしょう、という事で(汗


後、逆パターン(金アウター+銀シートパイプ)をやると逆にストロークが3o失われるのでデメリットしかありません(爆

別に金フォークのままでもそこまでおかしくなるワケではないので、銀フォークの方がガワが好みであるとか

そういった面もふまえての選択をお奨めしますよ〜


…なお余談ですが、大昔にコンテンツに記した「インナーチューブ切り欠き位置の違い」を逆手に取ったちと

危険な突き出しセットの手法は、すでにレギュレーションで明確に禁止されているので今はやっちゃ駄目です(汗


次に、フォークと言いますかインナーチューブ、シートパイプを組み込む時の注意点…と言いますかほぼ

気休めではありますがツボを一つ。

シートパイプ自体はアウターチューブの底部分から固定ボルトで固定される物になっていますが、この場合

シートパイプ自体の固定位置はアウターチューブの底部分の穴の大きさの余裕等もあり、結構ズレて

装着される事もあったりします。

一般的な正立フォークの様に、シートパイプの末端に「ロックピース」と呼ばれるパーツが存在する場合で

あればそこまで組み付け時のズレって出ない様になっているのですが、残念ながらライブDio-ZXのフォークには

最初からロックピースが無い設計の為、何も考えずアウターチューブ下のボルトを締めるとシートパイプの位置が

インナーチューブ上側から除くと結構偏って固定される事になりがちなんですよ。

…一般的なオイルダンパーならロックピースはありますし、Gダッシュですら片方だけはあるのに(泣


ロックピースが無いが故のズレ 上手く写真が撮れないので分かりづらいのですが、インナーチューブの上側からシートパイプを覗いたところですね。

一番下側、奥になる部分はアウター底の固定ボルトが刺さる穴があるのですが、ここが意外とズレる事が分かるんですよ。

もちろん、ボルトを締め上げればある程度はシートパイプ自体がセンタリングされるものですが、それでも完璧にはならないので…

なのでアウター底のヘックスボルトの本締めを行う前に、仮締めを何度か行いつつここのセンタリングを行います。


そうすると、気休めレベルではありますがシートパイプがアウターチューブの真ん中に位置しやすくなり、

全く気にせずに組むよりはマシ、という状態が形作れますね。

(※なお本締めはインナーチューブを思いっきり伸び側に引っ張りつつ電動インパクトで行います)

これってオイルもスプリングも入れない状態にて手でストロークさせてみると結構分かったりするのですが

シートパイプリング自体も偏らずに可能な限り真っ直ぐ動かせるといった方向性を目指す、という事です。

…ホント気休めですが構造上、一切気にしないよりは気にしておいてもデメリットは無いですよ(笑


次に、唯一フォークにてセッティングが出来るとも言えるフォークオイル油面のお話になりますが。

こちら、純正規定ではオイル粘度はともかく、オイル量としては「油量」でしか記されていないのが基本になります。

当然、これは新品を組む段階でしか役に立たず、油面がいくつというのはスクーター系のサービスマニュアルでは

オイルダンパーだとしても記載されていない事がほとんどなので、はっきり言いますとアテにしてはいけません。


と言いますか、スポーツ走行のセッティングを行うのであれば油面にて決めるのがセオリーですね。

ただし、これは個体差も微妙にある上、完全に構造が同等のフォークでないと比較は出来ないのでこれも

基本ですが、「自分でデータを取って上下させる」のが鉄則だと言えますね〜


で、その油面ですが…私の銀フォーク+金シートパイプの場合ですが下記の様になっています。

なお、この場合は素の銀フォークよりもインナーチューブ末端が3o伸びているのでそれも補正して

おきますのでお間違え無い様に。


とまあこんな感じですが、大抵の方が油面としてはノーマル基準となる実質80oでは正直硬いと感じてしまいます。

リヤサスを上げてキャスターを立てた状態でも、という前提ですが、オイルそのものは硬くしたとしても

油面をノーマル基準値より上げる、というのはなかなか行わないセッティングである、といった点は理解して

頂きたく思いますよ。

まずはノーマルより低い油面から初め、ストローク具合を確かめがら気に入る所までをo単位にて好みに

合わせるのが個人個人のセッティングとなるでしょう。

私は平均的に油面は88o(実質85o)を超えて高くする事はまずありません。


ただし、ギャップの多い路面に合わせる、とすれば油面を換えずにもっとオイルを硬くしたりもします。

これはしなやかなのを求めるのではなく、ギャップを踏んで飛んでもそれに耐えうる程度のオイル硬さが

必要といった方向性なので、ストリートや一般論とは全く異なる点にも注意ですね(汗

あ、それと補足ですが、油面というモノはおおむね、フォークストロークの半分から後〜に一番大きく

影響が出る物なので参考までにどうぞ。


自作油面調整器 なお余談でこれは自作の油面調整器ですが…もちろん市販品もありますがこの位でも充分に正確な調整は出来たりしますね。

…と言いますか一般市販の専用品はでかすぎて使いづらいんですよ(笑

多めにオイルを入れ、器具の先端突出部の長さを決めてインナーチューブに突っ込んで余分なオイルを吸い取るだけです。

後、別に割り箸とかノギスの尻を基準としても油面調整は出来ますが頻繁にやるならこういうのがあった方が良いでしょう。



次にフォークオイルの選定ですが…これはよほど特殊な状況、FNマシンより速度が大幅に出るとか路面が

かなり特殊であるとか、もしくは人間がEXPライダーであるとかで無ければ必要無いと私は感じます(笑

そもそもEXPレベルの人ならすでに自分の好みに合わせたモノをセッティング出来るでしょうから私の記す

基本的な事は必要無い、というのが大前提なので。


で、オイルですがこれは一般的な「番手」ではなく実際の「動粘度」を調べて選びます。

純正指定である「ホンダクッションオイル10番」の動粘度としては「#35」あたりになるので、これを基準として

上げるか下げるか、で決めていくのが一番です。

なお仮に同じ「10番」の表記の物でも、ホンダ純正だと「#35」でヤマハ純正だと「#33」でカヤバだと「#37」なので

全然硬さは異なりますね。

もちろん、これは熱が加わった時の動粘度で高温になるとまた少し変化してしまいますが、それは実際に

使ってみて把握するしかありません。


なお「15番」表記だと動粘度は一気に#47とか55まで硬くなるので、一般的「番手5番UP」というのはかなり極端な

変更である事もお忘れなき様にお願いします。(各オイルの粘度は各自検索をお奨めします)

スプリングではなくオイルが柔らかい、と思えば通常は硬さではなく油面を上げる方がベターですし、スクーターの

容量が小さなフォークでは良くも悪くも激変するので極端な粘度変更はあまりお奨め出来ません。

…前述の様な、シートパイプリング劣化があるのにオイルがノーマル値では柔らかすぎる、となってしまい

やたらにオイル粘度を上げるのはストロークを殺すだけの悪手である、という事も言えますのでね。

(※ただしフォークの内部構造によってはオイルを固めにしないと減衰力が変わらない車両も世の中にはあります)


で、私が今現在使っているフォークオイルですが、「A.S.H(アッシュ)」の「33」の物を使っています。

実際の動粘度は「#35」らしいのでホンダ純正10番品と変わらないのですが、温まってもコシが悪く

ならない上に感触としてもかなり良いので…これにベルハンマーをわずかに混ぜて使っていますね。

このあたりは好みもあるでしょうが、粘度と油面の選定にはちょっとした事で大きなデメリットも出て来る事が

多いので、悪く言えば下手に大きくいじくらない方が無難、とも言えるかなあという事で…(笑


とまあ、フロントフォークではレギュレーション上でいじくれるところが無いのでこの程度の事しか記せませんが(汗

サーキットだから硬くするとかストロークを殺すとかそういう事は無いのが現実、という事で。

いつも言ってますが私、動かないフォークなんてただの棒だとしか考えていませんので…


あ、それともう一つ、フォークをステムに組み付け、最後にホイールを入れる時なんですが。

ここの段階で、ホイールカラー&ホイール&メーターギヤをフォークの内側に入れた時点で、何かが

横にズレて動いてガタが出るとかだと良くありません。

アクスルの固定ナットを締めていない状態でホイール自体がわずかでも横に動く、となれば全てのパーツの

総幅よりもフォーク内側間の距離の方が長くなっている、という事になります。

ステムやフォークが曲がっていない事が前提ですが、そうなっていた場合は無理にアクスルナットを締め上げて

しまうとインナーチューブに無理が掛かるので、シムワッシャー等を使いホイール等の横ズレが出ない様に

調整してからアクスルナットを締め付けるべきです。


逆にフォーク内幅の方が狭くてホイール等が入らない、という場合は残念ながらどこかが曲がってしまって

いる可能性の方が高くなるので注意が必要です。

その場合も、インナーチューブの固定ボルトを一度緩め、インナーチューブを回転させてやればホイールが

すぽっとはまる所が出てくるかもしれませんが…インナーチューブはよほどの事がない限り曲がらないので

その場合にはステムのアンダー部分がよじれている、という事ですね(泣

かつ、左右フォークのみをステムに取り付け、アクスルシャフトのみを通してみて左右でアクスル穴位置が違う、

というのも問題アリですよ。


と、元々ガタのある3YKのフォークとかなら話は別ですが、それでも無理に締め上げるとインナーチューブの

動作の悪化となりえますし、下手をするとそのおかげでフォークシールがやられるという事もあるのでこの

あたりも注意が必要ですね…

なお、私はアクスルシャフトを入れるときにトンカチで打たないと入らない、というのは大嫌いですし、そこまで

しないとはまらないのであれば何かおかしい点がある、という証拠にしか過ぎないと割り切ってますよ(汗



・フロントブレーキ


…どう見てもノーマル然(笑


さて、次にサーキット走行では絶対に妥協の出来ない、と言いますかしてはいけないフロントブレーキについて

記して行きたいと思います。

「FNマシン」として変更してもOKなのはまるち杯レギュレーションに照らし合わせますと…

「ブレーキは、ワイヤー、オイル、ホース、パッド、シュー、レバー、バンジョーボルトの変更は可」

となっているので、これらのみしか変更出来ませんね。

なので実質フロントブレーキに手を入れられる部分はブレーキパッドとメッシュホース&バンジョーボルト、

フルード交換程度です。

レバーについては自分の手に合わない場合は社外品を用いてもOKなので…これはケースバイケースですね。


まずはブレーキの要、ブレーキパッドですがこれは何は無くとも初期制動に優れ、かつハードブレーキングを

繰り返しても熱ダレの少ない物を選びます。

私は色々試した結果、現在はデイトナ製の「ゴールデンパッド」を愛用していますね。


デイトナゴールデンパッド 同メーカーの赤や旧型緑に比べると、初期制動時はかっつりと効き、かつ熱ダレも小さいのが私は気に入ってます。

私は一般的なライダーに比べるとリヤブレーキをそこそこ使うタイプなのですが、それでも本気のブレーキングだとフロント/リヤの配分はほぼ10:0なので…

フロントブレーキが効かない、と言うよりはコントロール性が悪いのは大嫌いだったりしますね〜



なおこの品、お値段も実売3000円位なのでそのお値段でレーシングユースOKというのは魅力です。

と言いますか、現在だと昔の様には走り方自体が激しくは無いのでこれでOK、という説もありますが(汗

あ、なおココを記している2018年現在だと、次期モデルであるゴールデンパッドX(カイ)ってのが出てるので

そちらも良さそうですね。


なお余談ですが、サーキットユースにおいてはブレーキパッドを交換する時にはディスクローターも同時に

交換する事が理想、とされています。

もちろんディスクローターがすでに筋が入っているとかだと問題外になるのですが、パッドのみを新品交換しても

ディスクローターが磨耗、劣化しているとその形に合わせてパッドが馴染む上、それでは100%の能力を発揮は

しないので、ディスクローターが駄目にならない様にしているのが前提であればパッド2セットに対してディスク

ローター1枚、といった交換スタンスが丁度良い感じでしょうか。


参考までに私の乗り方ですと、新品で4.5o程度のパッドが1o近くまで減るにはサーキットオンリーで約

3000km程度走行しないといけないので、パッド2セットを使い切るには6000km必要な為、ディスクローターも

ぼちぼち頃合だな、といった感じで交換していますね。

(※もちろんディスクローターは異常があれば即交換します。なお2018年現在、一般的なレギュレーションでは

「純正同等品」の社外互換品の使用はOKです)



次にディスクローターですが、前述の様にこれは純正もしくは互換品を新品交換するのみになります。

新品のパッドを入れても意味が無い位に痛んでいるならば新品交換しておかないとパッドまで無駄になって

しまうので、純正互換品でOKなのである程度は交換すべきですね。


あちらモノ製ローター これは私の使っているディスクローターですが…純正互換品です(汗

もちろん同じ様な形状かつあまりにも安価な物は避けていますが、昔の様に純正新品なんてもう手が出ないので。

しかし実際、こういう物でもマメなチェックと定期交換を心がければ異常があればすぐ分かりますし…と言いますか異常あった事無いです(爆



似た様な所では3YK-JOGのインナーチューブやフォークもなんですが、これらもコストの面においては社外

互換品の使用が認められていますね。

社外品のインナーチューブのみは使えるのでそれを用いる人も多いですが…ライブDioの場合は当面そういう

物は必要無さそうですが(汗


ただし、転倒時に破損しやすい三つ又、ステアリングステムにおいては互換可能な純正品番は全て

廃盤になっているので、もしも破損した場合は中古もしくはNTB製等を使うしかありません。

実際、フォークが「強い」ライブDioの場合、転倒時にフロントタイヤを路面にヒットさせただけでも意外と

アンダーブラケット部分が曲がる事があるので注意が必要ですね。



次にブレーキキャリパーですが、特性的には3YK-JOGと比較しても片押し1POTのスライド式キャリパーに

なる為、ブレーキタッチ具合では3YK-JOGには全くかないません(泣

その分、ある程度のメンテナンスを行わないといけないのが鉄則ですが、基本となる消耗パーツは

定期交換としていくべきでしょう。


キャリパー内部 キャリパー内部ですが、ピストンを取り出してあまりにも磨耗や汚れがあったり、アタリが強い点があれば新品交換が一番です。

オイルシール&ダストシールも当然定期交換が望ましいですが、ブレーキレバーを握りこんだ「奥の方」でぐぎぎぎ…といった感じが出れば完全に駄目になってますね(笑

そうなる前にシール類は定期交換したいところですし、場合によってはキャリパー本体を程度の良い物へ交換するのもアリでしょうか。


なお、キャリパーについてはエア抜き用バンジョーボルトなんかも開け閉めの回数が多いと先端が潰れてくる

事もあるので、数年に一度は交換した方が良いでしょう。

これはキャリパーのスライドピン類も同様で、ハードブレキングを繰り返しているとキャリパー本体が

「ディスクローターの回転方向」へ向けてガタが出始める事があります。


キャリパースライドピン 上側スライドピンですが、これはキャリパー側にダイレクトに刺さっている為にかなり圧痕が付いてきます。

正直、ここまでくるとキャリパー側の穴自体も変磨耗するのでスライドピンだけ新品交換してもあまり意味がありませんが…(泣

このあたりのグリスアップは年に一度位はやるべきですし、キャリパー本体をステーからスライドさせてみてスムーズに動かないのは一番駄目ですからね。



オイルシールが正常であっても、片押しキャリパーの場合はキャリパースライドが作用してしていないと

役に立ちません(汗

もちろん、パッドピンやシム類もブレーキダストやグリスが焼き付いていたりするのは問題外ですね。

清掃は当然の事として、ブレーキってのは特に、自分のマシンのみしか乗らない場合には劣化や

トラブルにかなり気付きづらい部位なので、機会があれば他人のマシンを借りて乗ってみるのも

ベターになります。



次にマスターシリンダーですが、口径は原付一種二種にありがちな11oとなっており、ここだけは

3YK-JOGとの差はほとんどありません。

だからといってメンテが要らない訳では無いので、たまにはピストン部をチェックして異常があれば

交換すべきです。


マスターシリンダーと上抜きバンジョーボルト こちらが何の変哲も無いマスターシリンダーですが、私はエア抜きを確実化する為にバンジョーボルトをエア抜き出来るタイプにしています。

マスターシリンダーを地面と平行にしてもエアが完全に抜けない事もある為、一箇所エア抜き部が増えるだけでなかなか良い具合になりますよ。

後、特に説明はしてませんがブレーキホースは好みもありますがメッシュホースに交換が良いでしょう。

握りこんでいく時のタッチの具合が分かりやすいですしね。


なお画像はありませんが、マスターシリンダーのピストンAssyはたまには交換すべきですね。

とはいえ、シリンダー側がべっこべこだったりするとフレックスホーンで研ぐとかの対策も必要になりますが…

一度きちんとしておけばそこまで悪くなる所でもないので、中古ベースの場合はケチらない完全なるO/Hが

最初の一度は必須かなとも。(※フタ部分のダイヤフラム等も込みです)


そして、バンジョー&ボルトですがこれはアルミ製の物を用いる場合、クラッシュワッシャーは「アルミ製」の物を

間違えずに使いましょう。銅製クラッシュワッシャーだとバンジョー側のアルミ材の方が柔らかい為に

100%のシーリングが出来ない事があるので注意です。

…というかこれは過去に何度か記しましたし皆さんすでにご存知ですよね(笑


あ、余談ですがキャリパー側バンジョーボルトに関しては、強度的な面でステンレス等の物を使う

選択肢もありますが、その場合は万が一バンジョー周りを路面にHITした時、キャリパー本体が破損する

可能性もある為に好みの問題かなと思ったりしますね…(汗


18φサイズのサイトグラス品番 次にこちらはマスターカップ部のサイトグラス、要は透明な窓の互換パーツの品番です。

この窓部分って経年劣化で曇ったりヒビが入ったりしてきますが、ホンダ純正部品においてサイズがぴったりの物があったりしますね。

品番は「45515-MA6-006」と「45516-MA6-006」になりますが、窓とオイルシールの両方で1000円程度なので一度は換えておきましょう。



ココ、悪くなってくると微妙〜にここからフルードが滲んだりしてトラブルの元になるので注意ですね。

なお交換方法は古いサイトグラスを破壊して枠を取り出し、Oリングを交換しつつ元の位置まで入れるだけです。

軽圧入なのでソケットのコマを当て小さいシャコ万で締めるとか…その程度で入るので是非お試し下さいな。


…なおこれはライブDio系の純正品番では無いので正直、FNクラスマシンとしてはグレーではあるのですが。

もはやどうにもならない劣化レベルで運用するよりは100倍マシなので、一応記しておきたいと思います。



純正加工溝入りブレーキシュー 最後にリヤブレーキシューですが、正直純正そのままでOKです(笑

が、私は熱ダレと言いますか温まってきた時のコントロール性を維持する為、適当にサンダーで溝を入れて使ってますね。

もちろんライニング部分を貫通する程溝を深くしてはいけませんが、私はこれが一番気に入ってますよ。

ただし磨耗は少し早くなりますが、交換は数年に一度レベルなので問題にはならないです。



と、ブレーキに関してはこんな感じでしょうか。

ノーマルクラスなのであくまでメンテナンスが主体となりますが、ライブDioと言いますかこの手のホンダ系の

ブレーキシステムは元々効きやタッチが良い方では無い為、メンテ具合で天と地の差が出ます(爆

「自分のマシンは問題無い」と思っていても、可能であれば他人のマシンと乗り比べると意外な違いが

見えてきたりするので…


あ、ブレーキフルードは一般的なDOT4を使ってまして、年に1回くらいは全交換しますね。

気が付けばエア抜き程度は行いますが、マスターカップに溢れる程フルードを注いでおけば転倒して

しまってもそうそうエアは入らないので、基本は満タン入れてます、という事で(笑


・リヤショック廻り


長年愛用のオクムラ改SPLリヤショック


さてさて、次はリヤミッドシップであるスクーターの足廻りの一番の要、リヤショックについてです。

スクーターにおいてスポーツライディングを行う場合、リヤショックは交換が必須になりますが…

今の時代、安物と高級品の乖離が激しく、中間点の商品がなかなか無いのも難しいところですね。

私は現在でも、タイトル画像の様にオクムラ製リヤショックをベースとし、チューンした物をずっと使って

いるのですがこれはかなり特殊な例でして、仕様はオクムラ純正とは全く別物になっているのであまり

参考にはならない、といった点はご了承願います(汗


で、現実的な社外品のチョイスとしては…安い部類に入りますがデイトナのショックなんかは昔も

入門用途としては需要がありましたが、現在販売されている物もそこまで悪くはなく、スプリング自体の

反力は1.8kg程度でかなりしなかやで、ストローク量もそこそこある為にバンプラバーのカット程度で

ノーマルよりははるかにマシになったりしますね。


他には、B-MOONの「Z1」や、アドバンス・プロの「ZETA」等もそれなりに安価で良い具合かなと。

ただし、このあたりのショックはスプリング等の仕様変更が行われる場合もある為、一概にコレが

ベターである、とは言い切れないのが難しいところですが。

それでも、1万円代のクラスとしてはショックの具合、ダンパーとしての能力はそれなりにあるので、

デイトナからのランクアップには悪くないかな、と私は考えてますね。


ただし、ショック自由長は好みにもよりますが、おおむね「330〜340o」あたりを設定しないと

サーキットランにおいては全く曲がれない為、ストリート走行ではフロントが機敏すぎて危険なレベルの

調整が必須である、といった点はご注意下さい。

なので、前述のZ1等もヒップアップアダプターを介し、自身の好みの自由長に合わせていくのが基本に

なりますね。

…正直、ノーマル長305o程度ではタイヤをF3.00R3.50にしたとしても、ブレーキングからの初期旋回にて

3YK-JOGには 全く歯が立たず、バンク角の無駄にもなるので勝負になるレベルでは無いです(泣


かつ、ライブDio-ZXでFN仕様の場合、エアクリ等の存在もある為に仮に260o長のショックを使って

70o程度ヒップアップアダプターを介するとしても、リヤタイヤ側面はともかくとしてエアクリ等に

干渉しないサイズの物が求められる為、正直選択肢はほとんどないというのが現実です。

現在、私がヒップアップアダプター込みである程度まともな装着を確認出来ているのは、現在でも

手に入り、かつそこそこのショックとしてだとB-MOONのZ1(JOG用260o)、マロッシRS24(S-Dio用265o)、

ビチューボ270o(別体タンク式)等になります。

なおアドバンスプロ製ZETA(JOG用265o)は他車用に辻褄を合わせた事はあるのですが、実際に

ライブDio-ZXの車体に合わせた事がありません。しかし多分いけるとは思います。

(※JOG用ZETAはスプリングが1.5kg程度なのでライブDioにはちょっと柔らかいですが)


当然ですがライブDio系用、という品でまともなのは一切ありませんし、アドレスV125用とかならばなんとか

自由長の確保は出来ますが、元々が狭いところに押し込む様な設計では無い為、エアクリ等に阻まれ

真っ当な装着は不可能なので、自由長が長い上にタイヤ、エアクリ等への干渉が厳しいライブDio系では

選択肢は全然無い、と割り切るしかありませんね…

あ、ライブDio系車体の場合、リヤショック取り付け部の上側ボルト穴から下に向かっておおむね230o程度

地点がリヤタイヤ側面位置となるので、このあたりを回避出来る寸法のショックである事も大前提です。


そしてあくまで参考までに、ですが、私のFNマシンのリヤショック周りを解説しておきますね。

まず、上記のタイトル画像の様にリヤショック本体はオクムラ製改で、自由長305oの物をベースとして

ヒップアップアダプターを作成し、+25〜35o程度の自由長としています。

(※中身は別体タンク取り付け加工や減衰力変更バルビング加工等がありノーマルとは別物です)

なので取り付け穴間の寸法は330〜340oとなりますが、私はショックの上側取り付け部を前方に

50o移動させてショック作用角度を寝かせる為の「レイダウンアダプター」を使っている為、実際に

ショック自由長が340oある場合はノーマル構成準拠であれば「335o」となっていますね。


レイダウンの利点は、タイヤのストロークに対してショックのストローク量を小さく出来る事、体感では

リヤショックのスプリングが柔らかくなりよく動く、といった感じになるので私は好んでいます。

特に、マロッシRS24の様に元々のストローク量が40oに満たない様なショックを使う場合は、こういった

レイダウン加工は有用になり、短いショックストロークを有用に使える事になるので利点は多いですね。

…具体的に言えば、ノーマル状態だとタイヤが上に10oストロークした場合にショックも10oストロークして

いたのが、レイダウンだとタイヤが10oストロークしてもショックは8oしかストロークしなくなる、という

事なんですが…これは小難しいのでそんな感じである、という事でよろしくです(笑


ライブDioは4o程度ショックの下側が内側にオフセットしています 次に、ライブDio系で一応把握していなければいけない点として、ショックの下側取り付け部が車体内側に向かって「4o程度」オフセットしているといった点です。

純正のショックを観察すると分かりますが、ショック上側の取り付け位置はストレートですが下側はズレてますよね。

リヤタイヤ側面の接触回避の為の仕様だと思うんですが、その為に社外品ショックを用いる場合は「真っ直ぐ」装着するのは厳密に言うとNGなんですよ。


こちら、正直そこまで気にしなくても良いと言えば良いのですが、一応レーサーであるFNマシン、かつ

もはや時代遅れで枯れた技術のカタマリばかりを紹介しても意味無いので一応、という事で(汗

実際、社外ショック本体をフレーム側に上側のみ取り付け、そのままショックを「下ろして」きた場合に

エンジン側、すなわち下側取り付け部のブッシュ位置にはすこん、とははまらないです。

上下共にゴムブッシュなのでその程度の「ヨレ」って吸収は出来るのですが、シビアな面で見れば

いくら片持ちショックで斜めっている可能性があるとはいえ、少しでもマシにはしておきたいので…


オフセット&ヒップアップアダプター これは私が使っている、と言いますか対策の為に自分でこしらえたヒップアップ&オフセットアダプターです。

社外品では対策のしようが無い為、以前はリヤサスの上側の目玉部外側を削ったりしてなんとかしていましたが、今はこういうのを使ってますね。

ただしこれだと車高調整機能が付与出来ないので一発勝負になりますが、当然ですが安物の社外品アダプターで色々データを取った上でのヒップアップ具合の決定ではありますよ(笑


なお、ショック下側は90°回転させての取り付けになりますが、絶対にどの方向へもたわまない様に

アダプターを設計しているので、使うショックも限られます、と言いますかこれオクムラ専用です(爆

社外汎用品だと途中で「くの字」になりそうなのでちょっと怖いんですよね。

もちろん、ご希望があれば他のショック用や違った全長の物も作成していますのでご興味ある方は私まで

ご一報下さいな。それと当然ですが穴〜穴間の寸法で25o以下は物理的に不可能ですよ。

(※…ただしワンオフ設計な上にA2017もしくは7075材ベースなのでそこそこコストは掛かります)


次に、リヤショック下側の取り付けについてなんですが…これもまたちょっとコツがあります。

取り付けボルトに関しては、必要以上に過剰なトルクで締め付けないといった基本中の基本は

ココを読まれている皆さんならばすでにご存知かと思いますが、規定トルクよりも弱くてOKな位です。

(特に上側取り付け部は、締め過ぎるとショック側ブッシュのゴムを固定しきってしまい動作が硬くなります)


さらに下側に取り付けに関しては…ブッシュ中央部のカラーに対してあまりにもショック下側部を

「絞って」取り付けるのもよろしくなく、「エンジン側ブッシュのねじれ」でショックを動作させるのではなく

ほとんどフリーな状態で動作させてやる、といった方向性を取っています。


ブッシュ両端にシム調整 これはリヤショック下側取り付け部のブッシュ単体ですが、中央部カラーはブッシュの本体面よりも1oちょい突出しています。

その為、わずかではありますがショック本体は車体中心軸に対して「左右に傾く」動作をしてしまっているんですね。

下側取り付け部のスムーズな動作と合わせ、こういったシムワッシャーをブッシュ両側に装着した上で、ショックもしくはアダプターを装着しています。

なお私が使っているシムは「21x12x1o」といった寸法で、これを左右に1枚ずつになりますね。(なおグリスアップ必須)


そして写真にはありませんが、ショック(アダプター)取り付けボルトは本体のねじ山で締め付けるのではなく、

ボルトの相手側をダブルナットやロックナットにして、最低限度の締め付けで装着しています。

上下にガタが出ない程度の最低限度の取り付けでOKですが、その分緩みには気遣いは必要ですね。

ただし、上側取り付けも合わせてこの様な手法を用いると、ショック本体はかなり動作が良くなる為にただの

規定トルク締め、といった手法とは段違いのフィーリングを見せてくれますよ。

…その分、ショック自体の減衰力が小さい場合はモロに伸び側のふにゃふにゃさを感じる為、ある意味

それが正常な性能です、という事でひとつ(汗


あ、それとあんまし関係無いですが…エンジンハンガーのブッシュもDio系はこういったゴムブッシュでの

マウントになってますよね。

ライブDio系車量だとエンジンハンガー本体の左右幅が広い為、エンジン側のブッシュが斜めによれる、と

いう事は無いのですが、これがAF18系のエンジンだとブッシュ位置やハンガー幅が狭い為、あまりにも

速度やパワーを出したコーナーリングを行うと、そのあたりがよじれきってしまいエンジン自体がバンクせず

車体だけバンクして行っている、という様な奇妙な現象が出てきます(笑

とはいってもこれはそれだけエンジンマウント側ブッシュが斜めによじれているというだけであって、

もちろんよじれないとゴムブッシュの正常動作とは言えませんが、スポーツライディングにおいては

それは一切意味の無い動作になっている、という事で。


実際、リヤショック取り付けにも多少気を使う程度でも結構良くなるモノでして…なおこれが3YK-JOGだと

ショック下側ブッシュの中央部カラーのゴム部分からの出っ張り具合はライブDio系よりはるかに小さく、

ショックがよじれづらい上、エンジンハンガー部へのマウント部なんてベアリング式ですからねえ(笑

ハンガー動作の悪さでショックの動きがイマイチなのはともかく、それを除けばライブDioの方が構造的に

イマイチである、というのも面白…くないところですけれどね(泣


次に、リヤショックのスプリングについて少々。

車種限定ではありますが、体重がいくつ位ならばおおむねこの程度のスプリングレートの物が良い、と

いうのはそれなりにあるのですが、ここではライブDio系限定に関しての補足を行ってみます。

通常、リヤサスの作動角によってこういう数値はかなり違いが出るのですが、少なくともライブDio系に

限って言えば、体重60kgを基準とすればスプリングは2.0〜2.3kg程度がベターだと私は感じます。

もちろん、これには圧側(沈み側)減衰力がどの程度あるのかにもよりけりですが、ざっとした数値で捉えて

頂ければと思います。

なお参考までに、個人計測ですがZ1で1.5kg程度、デイトナで1.8kg程度、オクムラで1.8〜2.3kg程度、マロッシで

2.4〜2.9kg程度、といった感じでしょうか。

直巻きスプリングで無い場合は一律レートにはなりませんのであくまで参考までにどうぞ。


スプリングセット長の違い そしてスプリングに関して補足ですが、これは私のオクムラx2本ですが、双方のシェルケースの下の方にある穴の位置にご着目をば。

右側のショックの方が穴が低い位置にありますが、これは右側のショックのシェルケースの方を短くカットしており、スプリング本体の「セット長」を長く取っているからなんです。

(※左側の物もそれなりにはカットしてますが)

オクムラ305oのスプリング自由長はノーマルで「130o」あり、セット長はプリロード最弱でも「120o」なんですよね…


これが不味いのでシェルケース加工にてセット長を129o程度、スプリングが遊ばないギリギリにしています。

スプリングというものはその構造上、仮に2.0kgのレートで作成したとしても自由長から最初の10o程度は指定の

2.0kgの反力とはならない為、実際には自由長=セット長で運用する事は宜しくは無いのですが。

いくらスプリングレートが低くとも、プリロードが掛かりすぎていると1G沈下量が減りすぎる上、最初の方の

ストロークを固めてしまう事になりがちなので、私はリヤショックに限って言えば自由長とセット長があまり

変わらないセットを好んでいますね。


で、私は現在体重65kg程度ありますが、実際にこのオクムラ改で1G沈下させるとショック本体の1G

沈下量は、20o程度あったりしますよ(笑

フルストローク50o弱のショックで、1G沈下でそこまで沈ませて底突きしないのか、と思われる方も

おられるかもしれませんが、レイダウン効果と不等ピッチスプリングの効果もあり、実際の走行では

ペラペラにカットしているバンプラバーにケースがヒットする事は一切ありません。


…私は、ですが1G沈下時のストローク量ってかなり大事だと考えていまして、伸び側の余裕があまり

無い場合、リヤタイヤがギャップを踏んだり、滑って空転したりした時に一気にグリップを失ってしまう、と

言いますか、タイヤが路面から離れ易すぎる方向性になる為にあまり好きでは無いんですよね。

特に、10インチタイヤといった回転数が高く限界の低いタイヤの場合、大径タイヤと違って一度路面から

離れてしまうとコントロールの難易度がかなり高い為、余計に「タイヤが路面を捉え続けづらい」仕様は

避けていくべきだ、と考えていますね〜


とはいえ、しっかりとリヤに荷重をかけた時には腰砕けではなく、きちんとタイヤへ荷重が載せられる

セットバランス、というものを私は長年の経験とセットで見出してはいる、というのは大前提です。

実際には、調整の効かないショックも世の中には多数ある為、まずは1G沈下量を設定し、その上で

走行してみて底突きが起こる様ならばプリロードを掛けるかスプリングを変更していく、といった方向性に

なるかと思います。(この時点では沈み伸び共に減衰力は弱めで)


次に伸び側減衰力を(調整出来るならば)強めていき、切り返しでリヤが飛んだり、リヤが滑ったあたりの

挙動が落ち着かないならどんどん強くしていきましょう。

あまり強くしすぎても動かないショックになるのでやりすぎは禁物ですが…世の中の大半のショックの

伸び側減衰力って、あまり強くなくてスプリングの反力に過剰に負けているモノが多いのであんまし

調整のしようは無いのですが…例えば伸び側減衰力がかなり強烈なマロッシRS24、これなんかは

スプリング反力が強すぎる為に伸び側減衰力の強さを生かしきれていない感が大きいですし。

だからこそスプリングを交換して使う人が多く、そこで初めて本来の「ショック」として働き始める、とも

言えるかなと私は分析していますね。

(…もちろんアベレージスピードが100km/hを超える様なヨーロッパのレースとなればまた話は別でしょう)


あ、圧側(沈み側)減衰力については単独調整出来る物ってまず無いので割愛しますが…これは

あくまで「スプリング反力を補助出来、かつスプリングレートを弱められる方向性」が出来る位まで

強くして行けるなら行く、というのが基本でしょうか。

センタースプリングみたいなモノで、あくまでスプリングというものは「ショック本体への荷重を最低限度

受け止められるレベル」での反力さえあればOKで、圧側減衰力のみでそれが出来るならスプリングは

要りませんのである意味おまけとも言えます(笑

だから私はリヤ「サスペンション」ではなくリヤ「ショック」と記しているワケです。


とまあ、リヤショック関連に関してはこんな感じですが、あまり参考にならず申し訳無いです_| ̄|○

私自身、はるか昔にオクムラ改をこしらえてからずっとメンテやバージョンアップで使い続けているので、

今の時代ならどうするか、というのは自分の経験上でははっきり出せない、というのが本音なので(汗

しかし、お金が出せるならば定番のマロッシRS24、体重が軽い人はスプリングをワンオフで作り直して

やる事が必須にはなりますが、ヒップアップアダプターを介しての全長調整を併用して使うのが、一番

ベターな選択肢かなとは思います…


本来ならこれが定番のマロッシRS24 …これはマロッシRS24の265o+ヒップアップアダプターの図です(汗

一応、減衰調整ダイヤルのゴム部分が多少エアクリに当たる程度で、他に機能を制限する様な部分はありません。

このヒップアップアダプターは下側取り付け部に純正リヤショックの下側取り付け部を使っているのでオフセットは純正と同様です。

後、その純正下側取り付け部を使っている事によりネジ式の部位がある為に数oですが全長調整も可能だったり。


もちろん私のではありませんが…マロッシRS24の場合は何も悩まなくて良い、というのは大きいです。

ショックの減衰力特性が天下一品なので、よほどの事が無い限りコントロール性が悪いと感じる事は

無いでしょう。

正直、1万円クラスのリヤショックをいくつも使って走りこむより、一気にトップエンドモデルを使った方が

テクニックや限界付近の挙動の把握等の練習にはなりやすいですしね。

はっきり言いますが、安価品だと何故滑ったのか、何故コケたのか分からないなんてザラにあるので。

なお入手するには通販しかありませんが、時価なのでおおむね4万円台〜5万円はしますがその価値はあります。

私の様にオクムラ改にとんでもない手間とコストをつぎ込むよりは絶対こっちのが良い、とは言い切れま(以下略


最後に、私の使っているリヤショック廻りですが、これは一応全国的なレギュレーションへの抵触は

していません。

レイダウンアダプター、ヒップアップアダプター共に装着にあたって「車体側への加工」は一切行って

いない為、それらのパーツはリヤショックの一部として認められますので…

駄目なのは取り付けにあたり、フレームの加工や直接の溶接等を用いる、といったパターンです。

FN-4クラスの様に明確な取付移動アダプター類の禁止クラスもありますが、少なくともFNクラスにおいては

JOG用のJOSHO-1等も含め、追加ステーを用いてショックを取り付ける手法はインチキではありませんね。

とはいえ、レイダウンアダプターは一瞬の旋回で曲げづらくなる、といったデメリットもあるので、そのあたりは

自身のライディングやバランスと相談しないといけません。やってりゃOKという簡単な物でも無いので(笑


・その他あれこれ


さてさて、FN仕様ライブDio-ZXについて色々記してきましたが、そろそろおしまいになります。

最後に、ちょっとした小物とかをご紹介してまとめたいと思いますが、正直あまり役には(略


エンジン側ブッシュの劣化 これはパーツではありませんが、クランクケース側ブッシュの磨耗例ですね。

古くなってくるとはた目には見えずとも、ドライバー等を差し込んで捻るとこういった感じで亀裂が入っている事が多々あります。

これを交換するにはちょっと特殊な手法になりますが、ソケットのコマや適当なパイプ、ワッシャー等を通して真ん中に全ネジボルトを通し、新しいブッシュで古いブッシュを押しながら交換していきますが…


ちょっと説明しづらいので少なくとも割れていたら交換必須のポイントである、という事で(汗

以前、山田商会から「押し出す君」といった交換冶具が出ていましたがその説明リンクも今はもう無いので

もし知りたいといった奇特な方がおられれば私まで直接ご連絡頂ければアドバイス致します。


ホンダ純正逆止弁 これは定番、ホンダ純正採用の逆止弁になります。(負圧ポンプの出口側にある物体)

皆さんご存知の通り、ライブDio系は燃料ラインはポンプ出口からキャブまでがかなり長い為、しばらく動かさないでおくとガスがタンク側へ「落ちて」しまいます。

サーキット走行後にはキャブ内のガス程度は抜くのが定石ですが、燃料ライン部分まで全部無くなってしまうと次回始動がとっても苦痛なので(笑


さすがに数ヶ月単位で放置すると意味はありませんが、1〜2週間程度ならば無いよりマシなのでお奨めですよ。

品番は「16800-GET-831」になります。

なお、規制後最終型等では純正採用モデルがあるのでそれ以前の形式の車両に使ってもレギュレーション

違反にはなりません(汗


ピースクラフト製ハイグリップシート こちらも定番、ヤフオクの「ピースクラフト」社製のハイグリップシート革になります。

表面はエンボス加工になっており、革自体もかなり柔らかく伸びもあり、かつ耐久性も抜群ですね。

他に社外品も色々ありますが、私はここのメーカーの革で困った事が無いのでずっとこれを使ってますよ。

ライブDioではサーキットランオンリーで10年くらい使うとやっと磨耗したかな、といった感じでした。


なので耐久性に関しては折り紙つきだと私は分析しているので、手持ちの車両は全部このメーカーの

シート革になってますよ(爆


で、当然ですが純正シートが自身のポジションに合わないならばアンコ抜きもすべきですが、これは

一長一短でして、ライブDio系の場合はステップボードのバックステップ位置とシート座面までの距離が

かなり近い為、足の長さにもよりますが身長165cm以上の人は「重心を下げる為」のアンコ抜きは

行わない方が良いと思います。

何故かと言いますと、足の長い人だとポジションが「アップステップ」になってしまう為、膝頭部分がシートの

お尻を置いている箇所と同じかさらに上になってしまうからなんですよ。


こうなった場合、シートからお尻を浮かせてフォームを作る場合、膝頭よりもお尻の重心が下にある為、

うんこ座り状態から一気に全身の荷重を膝で持ち上げなくてはいけなくなります。

具体的に言いますと、椅子に座って太股と膝が90°ずつ丁度曲がっている状態から立ち上がるのは

苦になりませんが、仮にその状態から足の裏に10cm程度の台を置き、膝頭がお尻より高い所にある

状態で立ち上がれ、となれば一気に負担が大きくなりますよね?


これ、足腰を鍛えても結構きつい為、下手にシートの位置を下げてしまうのはデメリットの方が大きいと

私は考えていまして…アンコ抜きを行うのは伏せる時の為にシートの後方の出っ張り部分を平らにしたり、

ハングオンスタイルでお尻のカドを引っ掛ける為にシート後方の左右のカド部分を多少抜く程度です。

今まで何十回もシートのアンコ抜きを試しましたが、173cmの私にはシートを低くしても全くメリットが

無く、ノーマル高でもかなりきつい、というのが結論なので…体が大きめだとライブDio車体はかなり

きついものです、という救いようの無い結論に(以下略


あ、それと補足で、ステップボード部にはアルミ製おろし金を使っているのは相変わらずです(笑

写真ありませんが、社外品のブツだと私はちょっとイマイチなので自分のポジションに合わせておろし金を

切り抜いて使っていますね。

ハイグリップシート革とステップ滑り止め、この2種はサーキット走行には絶対に必須なモノだと言っても

良いので、リヤサスやタイヤの次にお金をかけるからこれかな、と思いますよ。


後余談で、ハンドルグリップも自身の好みにあったものを使うべきですね。

インターフェイス的には、普段乗っている車両と同じ物を使うというのが意外と良いですし、出来れば

スクーターライディングの場合はグリップを引っ張ることも多い為、ワイヤーロックがかけられる様な

仕組みの物がお奨めだったりしますよ。

(…万が一、走行中ににゅるっと抜けかけると恐ろしいので)


チャンバーガード こちらは一応の保険でチャンバーガードですね。

ノーマルマフラーなら右側に転倒しても強度のおかげであまりダメージは喰らいませんが一応です(笑

ただ、チャンバーガードはクランクケースにダイレクトマウントするモノなので、転倒時のダメージがクランクケースに全て吸収される場合も0ではありません。

出来れば、ですが先端部分の長さを調整し、転倒時にマフラーとカウルとチャンバーガードの3点支持となる様にすればベターです。


とはいえ、これは長すぎても右コーナーのイン側縁石をかすめる場合もあるので好みの問題でしょうか(汗

FP仕様や改造車において壊れたら「痛い」様なチャンバーを使う場合にはあった方が良いですけれどね〜


MBR740 最後になりましたがタイヤ、これは大定番ですがIRC製のMBR740を3.00-10&3.50-10で使っていますね。

近年は頻繁にはタイヤを交換しないので、夏場に換える時があればリヤにサマースペシャルのコンパウンドを履かせ無い事も無いですが…

正直、私のライディングレベルではそこまで大差無いです(笑

なお空気圧はF=1.0kg、R=1.4〜1.6kg程度を旨としていますね。

(Fは年中固定でリヤのみフィーリングで変更します)


比較対象としてはブリジストン製のBT39SS(YCX)がありますが、正直グリップ力のみを取ればBT39SSに

軍配が上がりますが、タイヤの形状ゆえにMBR740の方が旋回性は高いです。

なお、その柔らかいコンパウンドの為にBT39SSはかなりお財布にやさしくなく、体感ではMBR740の

倍近いペースで磨耗していくので、このご時勢ではコスト的に維持が出来ない、といった点も大きいです(泣


それと近年は3.50サイズのみですが、チエンシンタイヤ(CST)の「CM-SR」も良いと言われていますね。

ただしこれは私は自分で履いた事が無いのでなんとも言えませんが、走行後のタイヤを触るとかなり

コシがある上にねっとりコンパウンドなので期待は出来そうです(汗

が、ちょっと割高なのとフロントに何を履かせるのかで悩みそうですが、そのうち試したいと思いますよ〜



とまあ、いつもながら長くなりましたがFNマシンについてのあれこれ、2016年度はこれにて一応の

終了とさせて頂きますね。

…実際にはもはやコレを書いているのは2019年というオチですが、これからFNを始められるといった奇特な

方はまずおられないと思いますけれども…何かのお役に立てれば幸いですよ。

なお、不明瞭な点やパーツ等についてのお問い合わせがあれば、サイトのTOPページよりメールを

頂けると嬉しいです。


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