「レギュレーションの隙間を縫った無理矢理の辻褄合わせ」といった要素を多分に含みます。
ハイチューンエンジン等に採用する場合にはプラグの無駄な突出がトラブルの可能性となる事も
あると言う事を念頭に置いた上でご一考下さい。
今回は、ある意味定番ですが「プラグによる圧縮比UP」の方法をご紹介します。
かなりメジャーな方法ですので、ご存知の方も多いと思います。
「ノーマルより長いプラグを使って燃焼室に突き出させ、燃焼室容積を少なくする」
という事ですね。
ヘッド面研程は圧縮比の向上は望めませんが、明らかに体感出来るトルクUPに繋がりますね。
なによりコストパフォーマンスに優れます(笑
基本的に50ccスクーターなら、「B○HS」「BPR○HS」「BR○HSA」等、「H」リーチの物が使用されています。
(「○」の部分は熱価番号です)
「B○HS」等の表記の「H」の部分が、プラグの「ネジ部」の長さを表す記号になっています。
プラグの表記方法は、一般的にこの様な感じですね。
R =抵抗の有無 (「R」は抵抗入り)
○ =熱価番号 (大きいほど「冷え型」)
H =ネジ部の長さ(リーチ) (H=12.7mm・E=19mm)
S =プラグの仕様 (V=レーシングV字電極・IX=イリジウム等)
「BR○HS」→「BR○ES」といった感じです。
約6.3mmの差があります。
しかしこのまま使用してはダメですね。
(クリックすると拡大します)
ですので、ネジ部にワッシャーを何枚か入れて、燃焼室に突き出す量を調整する訳です。
ちなみにここで使用するワッシャーは、古いプラグから抜き取った中古品を使います。
取り付け、取り外し共にこの様に行います。
プラグに傷を付けない様に慎重に…
(クリックすると拡大します)
コレをやらなかった場合、圧縮漏れを起こしてしまいます。
ワッシャー同士の間も、ギチギチに締め上げてクリアランスを無くす勢いで締め付けましょう。
そして、何枚か重ねたワッシャーにも、液体ガスケットを塗って密封性を上げておくのが良いですね。
これだけの部分が燃焼室に飛び出し、圧縮比が上がる訳ですね。
50ccスクーターですと、燃焼室容積は6cc程しかありませんので効果は絶大です。
…別物のプラグですので、電極形状の差は考えないで頂きたいですが(笑
(クリックすると拡大します)
(うち1枚は新品です)
これですと、「B○HS」等の「H」リーチプラグよりほんの少しの圧縮比UPになりますね。
熱価が8番なのは、圧縮比UPにともなう熱を冷やす為です。
…これはあくまでフルノーマルエンジンに対しての熱価ですので、チューン車、ワッシャー3枚等の仕様ですともっと熱価のUPが必要ですが…
(補足としまして、熱価の高いプラグは、「ガイシ部分」の体積が大きく、同じサイズのプラグでも圧縮はさらに高まりますね)
5枚=ノーマル「H」リーチと同様。
4枚=少々トルクUPし上の伸びも損なわれない。
3枚=トルクは4枚仕様よりも上がるが、上は伸びにくくなってくる。
2枚=これは使用プラグによっては電極がピストンヘッドに当たるので危険。
(縦置きDioエンジンでも同様。2枚でもいけそうな感じがありますが…)
5、4、3枚はDio系と同様。
2枚だと明らかにトルクUPし、上も思ったほど落ちない。
1枚でも走るが、これも場合によってはプラグがピストンヘッドに当たる可能性アリ。
(縦置きJOG系はDioと同じ様な感じになります。データがあまり無いので保障は出来ません(汗)
基本的に、キックをゆっくり下ろし、プラグがピストンに当たる感覚でセッティングを行うのが無難です。
これによって、全体的な点火時期の進角が起こってしまいます。
これらも含めた上でのチューンになりますので、その辺りは十分お考え下さいね。
ただ、プラグの突出により燃焼室形状が少しおかしくなってしまう弊害があるはずですが…少なくとも私は、そこそこのチューンでこの方法を行っても大きなトラブルはありませんでした。
チャンバー&キャブ位の、ポートや燃焼室に関係する加工を施さないチューンである限りは、トラブルの可能性は低いと思いますよ。
何より凄くお手軽ですし、ね。
が、やりすぎやエンジン内部のチューンを施した物への採用等は「自己責任」でお願い致します。
…実はこの方法、某オー○ボー○のKIT物と同様の理論だったりするんですよ(笑
※この手法は本来、「エンジンパーツの改造変更が一切不可」であるノーマルスクーターレースでの
簡単にご説明しますと、
…少し無理矢理な方法ですが、私はこれでトラブルが発生した事はありません。
さて、具体的な方法ですが、これにはまず、今使っているプラグがどの様な物なのかを知らないといけません。
(例はNGKプラグです)
B =取り付けネジ部のピッチ寸法 (B=M14×P1.25・D=M12×P1.25等)
すなわち、「H」リーチのプラグの代わりに「E」リーチのプラグを入れるといった方法になりますね。
電極部の長さだけで約6.3mmの差がありますが、そのまま取り付けてしまうと、ピストントップに接触してしまい危険ですね。
プライヤーでワッシャーを挟み込み、プラグレンチでプラグを回転させます。
ここでのポイントは、新品プラグに付いている新品のワッシャーを初めに取り外し、一番下(シリンダーヘッドとの接触面)に入れる事です。
あいかわらず写真が悪いですが、この様になります。
右の「E+4枚」の方が、ネジ部が突き出ているのがお分かりでしょうか。
この写真ですと、「B8EGV」に全部で4枚のワッシャーをかませています。
そして最後に、車種別のワッシャー枚数ですが…これは一概には言えませんので参考までに。
ライブDio系
横置きJOG系
これらはあくまで「フルノーマル」のシリンダー&ヘッド&ガスケット等で取ったデータですので、ヘッド面研当を施していると当てになりません。
そして、プラグが燃焼室に突き出す事により、電極の点火する位置もピストン寄りになりますね。
圧縮比UPといえば「ヘッドの面研」が一般的ですが、この様な方法でも多少の圧縮比UPは可能なんです。