えーっと今回は、少し基本に立ち戻りまして。エンジンパワーを発生させるのには切っても切れない要素である、
「圧縮比」について語りたいと思います。
…以前より当HPをご覧頂いておられる方々にはすでに私が何を言いたいかがお分かりかと思いますが(笑
今回は掲示板等で私が何度か言ってきている件を噛み砕いてご説明したいと思います。
まず、「圧縮比」とは…単純に言いますと、シリンダー内の混合気がピストンによってヘッド内に詰め込まれ、
文字通り「圧縮」される場合での、双方の容積の比率、という事ですね。
通常は「シリンダー内容積(ボア×ストロークの排気量)÷ヘッド内容積」という認識が一般的です。
この数値が7:1や10:1といった感じで把握されているのが一般的な圧縮比の認識になりますね。
私も、こういった計測方法ですと「ある程度」の圧縮比の目安にはなるかと思っておりますが…
厳密に言うとこれは間違いなんですよ(汗
この計測方法ですと…仮に私の好物の一つであるスーパーDio-ZXを例えに出しましょう。
スーパーDio-ZXだと、排気量はもちろん49ccになります。
ボア39oでストローク41.4oですから…
19.5×19.5×π×41.4=49.43
一応、個人的データですがノーマルヘッドの容積は、約5.7ccなので…
49.43÷5.7=8.67
ですがこれだと…正直サービスマニュアル等の表記にある数値よりもはるかに高いです(笑
スーパーDio-ZXの表記値は7.1:1となってますので。
正直、ただ単にノーマルの圧縮比を求めようとしてもこれではお話にすらならない程の数値のズレが
あるという事がお分かりだと思います…
と、ある程度知識のある方ですと色々ツッコミがあるかと思いますが、とりあえずの前置きですので(汗
そして本題ですが…この「圧縮比」と言う物は、一体どういった「部分」の「対比」なのかが重要になりますね。
これは…もちろんシリンダー内容積とヘッド内容積の対比である事には変わり無いのですが。
本来の「圧縮比」と言う物は…簡単に言いますと
ピストンより上のシリンダー内&シリンダーヘッド内容積の総容積と
上死点時のピストンより上の部分の容積の「対比」
ピストンが下死点から上昇してきて排気ポートを塞いだ時の
簡単にいつもの下手絵で表しますとこんな感じです↓
お分かり頂けますでしょうか?
2ストロークエンジンと言う物は、シリンダー内壁に各ポートが存在する為、4ストの様に「圧縮工程」にて
シリンダー容積とヘッド内燃焼室容積がきっちりと決まる物では無いので、排気量分のシリンダー容積を
ヘッド容積で割るのは間違い、と言う事なんですね。
赤斜線+青斜線部分の容積を、青斜線部分のヘッド内容積で割った物の比率の数値を
本来の「圧縮比」とすべきだと思いますので。
4ストでピストンが「圧縮工程」にある場合、基本的にはシリンダー内容積分の混合気が、きっちりと
容積の決まったヘッド内燃焼室に押し縮められますよね。
ですが2ストの場合だとそうはいかず、ピストンが下死点の位置から上死点に上昇しきるまでは
「掃気ポートが開いている間の混合気の出入り」と「排気ポートへの掃気ポートからの新気の逃げ」、
そして「チャンバーからの混合気の押し戻し」等が行われており、一定量の混合気がシリンダー&ヘッド内に
充填されていたとしても、ピストン上死点時にヘッド内に全ての混合気が「圧縮」されるかと言えば…
決してそうはなりませんので。
ですので、最初に紹介した「排気量÷ヘッド容積」での「圧縮比」の計算は、本来は4ストエンジン用と
言う事なんですね。
…本当は(排気量+ヘッド容積)÷ヘッド容積、なんですけど(笑
この2ストの圧縮比計算で出した数値、私個人の定義では、「有効圧縮比」と呼んでいます。
…排気ポートからの混合気の逃げ&戻りも考慮すれば、元々がターボの様な過給システムに近い物なので、
2ストエンジンの場合は正確に「有効」な圧縮比とは一概には言えないかと思いますが、少なくとも混合気が
「圧縮される容積の比率」そのものは数値で正確に出せますので、排気ポートが閉じてからの混合気の圧縮比率を
「基本の圧縮比」として考えていますよ。
チューニングにおけるエンジン作りでの「基準値」とするには一番正確で誤差の無い物ですし、ね。
※チャンバーによるカデナシー効果による「混合気の再充填効率」については後述します。
と、これで2ストと4ストの圧縮比計算と言う物自体が違うと言う事がご理解頂けたかと思います。
それではこれからは具体的な「有効圧縮比」の求め方をかいつまんでご説明致しますね。
先程の「有効圧縮比」を計算するには、まずは「ヘッドの容積」を計測しなければなりませんが、
これは単純にヘッドに穴開きアクリル板でも当てて注射器で容積を測れば良いだけの事なので割愛しますね(笑
あ、このヘッド容積を測る場合、基準となるプラグを自身で決めておいた方が良いです。
プラグの先端部分の形状の違いでも、コンマ何cc単位で容積が違って来る物なので。
そして次に大事なのが、そのヘッド容積…いや、ヘッド容積となりえる混合気が圧縮される部屋の容積です。
これは、単純にヘッドの容積のみで表すモノではありません。
まず、ヘッドにはガスケットが入っているのでその容積を加味する事が大事です。
上記の例で出しましたスーパーDio-ZXを例に出しますと…
ヘッド容積=5.7cc+ヘッドガスケット0.55o分を加えると、
(19.5o×19.5mm×π×0.55mm)=0.65cc
5.7cc+0.65cc=6.35cc
一応のヘッド部分容積は6.35ccです。
そしてシリンダーの「排気ポート上端〜シリンダー上面までの容積」も求めますが、これは
(19.5o×19.5mm×π×25.5mm)=30.44cc
これと上記のヘッド容積(ヘッドガスケット容積含む)の数値を合わせた物がシリンダー側容積となります。
30.44cc+6.35cc=36.79cc
実はこれだけではヘッド内容積で割っても正確な圧縮比にはなりえないんですよ。
その他にも計測して数値分の容積を加味しなければいけない部分が2箇所あるんです。
まず一つ目は、ピストンの肩より上の「膨らみ部分」です。
これは、ボア径や高さが判明していれば、ピストンやシリンダー内壁部分は、円筒の体積を求める計算式で
簡単に容積を求められますが、ピストントップの膨らみ部分は単純な円筒形ではありませんよね。
しかも、「ピストンが上死点にある場合でのヘッド側の容積」を求める場合には、このピストントップの容積を
その数値より引いてやらねば正確な「ヘッド内容積」にはなりませんよね?
具体的にはこういう感じです↓
と、とりあえずはピストンが上死点位置、なおかつ「ピストンの肩部分がシリンダー上面とツライチ」の状態の
場合の図になります。
この状態ですと、燃焼室内の容積+ヘッドガスケット容積からこの「膨らみ」の部分の容積を引いた物が
事実上のヘッド内容積となりますね。
もちろんこの膨らみ部分の容積…と言いますか体積は、シリンダー側容積を求める場合にも同様の意味で
「ヘッド内容積+ヘッドガスケット容積+"排気ポート上端〜ピストン上死点位置のシリンダー容積"」から
引いてやる必要があります。
ピストンがどの位置にあるにせよ、ボア×ストロークで計算した「円筒部分の容積」に対して加味する必要がある、と
言う事ですね。
(フラットピストンの場合は関係ありませんが)
そしてこの膨らみもっこり部分の容積の計測方法ですが。
これは各部寸法を取れば計算でも出せない事は無いかと思うのですが、私の脳味噌では無理なので
物理的な計測方法をご紹介しておきましょう。
こんな感じですね。
まずはシリンダー上面より、ピストンの肩部分の計測で正確に数o程ピストンを下げ(図中A点の数値)、
リング上のシリンダーとピストンの隙間にはグリス等を詰め込み、計測用の液体が流れ出ない様にします。
こうやってシリンダー上面に板を置き、注射器で容積を測定した数値を控えます。
もちろんこの計測数値は、そのまま膨らみ部分の容積にはなりませんので補正が必要ですね。
仮に、先程の「図中A点」の「ピストンを下げた寸法」を「3o」と仮定しましょう。
すると、シリンダー上面から「真っ直ぐ3o分下がった位置」までの容積が
(19.5o×19.5mm×π×3mm)=3.58cc
そして先程実際に「計測した容積」が2.2ccだとしますと、これを円筒部3o分の容積から引いて
円筒部本来の容積3.58cc-実質計測の容積2.2cc=1.38cc
この場合のピストントップ容積は「約1.4cc」という事が判明しましたね。
※この「図中A点の下げ量」があまりに大きいと計測誤差も大きくなりますのでご注意下さい。
※ピストンの頂点をアクリル板にくっつけ、板の横の方に液体注入用の穴を開けても良いでしょう。
が、これはあくまで「ピストンの肩より上」の部分を「燃焼室容積」だと考えている場合の計測方法です。
「トップリングより上」を燃焼室容積だと考えている場合はまた計測方法が異なりますね。
私はピストンの肩基準でここの容積を計測していますが、「リングより上」だと考える場合はトップリングの
合口のみにグリスを塗って容積を測るのも良いでしょう。
ちなみにこっちの方がグリス塗るのが簡単です(笑
と、これでピストントップ容積そのものが判明したので、先程のヘッド内容積とシリンダー側容積より
この数値を引いていき、ピストントップ容積分マイナスになった数値が「本来の容積」になります。
「シリンダー側容積」は排気ポート上側〜シリンダー上ツラまで+ヘッド+ガスケット容積-膨らみ容積なので
30.44cc+5.7cc+0.65cc-1.4cc=35.39cc
対して「ヘッド側容積」は、ヘッド+ガスケット容積-膨らみ容積なので
5.7cc+0.65cc-1.4cc=4.95cc
ここまで計算すればすでに「有効圧縮比」は出ているも同然なのですが、もうひとつのポイントを。
その二つ目のポイントですが、これはピストン上死点での「肩落ち」です。
物によっては、ピストンが上死点にいても、肩の部分が必ずしもシリンダーの上面とツライチ、と言う
訳ではありませんよね?
これはどういう事かと言いますと、その「肩落ち」の容積分、ヘッド側容積が増えてしまっている、と言う事になります。
ヘッド側の容積の計算式は「燃焼室容積+ガスケット容積-ピストン膨らみ容積」ですね。
この数値に、肩落ち部分の容積を加えて初めて「ヘッド側容積」になるんです
具体的には…ピストンが上死点の位置にある時に、シリンダー外壁と接するピストンの肩部分が
どの位「シリンダー上面より下がっているか」と言う事ですね。
スキッシュクリアランスの一環を担う事もある「肩落ち」ですが、圧縮比計算の折には忘れてはいけない
重要な容積になって来るんです。
仮に、上記と同じエンジンでピストンの「肩落ち」が0.5oあったとしましよう。
(19.5o×19.5mm×π×0.5mm)=0.59cc
となります。
その場合のヘッド側容積は、トータル計算で
4.95cc+0.59cc=5.54cc
となり、これが「肩落ち」がある場合の最終的なヘッド側容積になりますね。
ちなみに膨らみ部分の容積は前述の計算の段階で引いているのですでに相殺されています。
※以下の例では便宜上「ピストン上死点=ピストンの肩がシリンダー上面とツライチ」な状態として
以後の計算を行いますので、ピストンの肩落ちは0、というエンジンだとお考え下さいませ。
と、これにてヘッド側容積と、排気ポート上端より上の部分の容積を求める事が出来ましたね。
後は単純に、シリンダー側容積をヘッド側容積で割った物が、「有効圧縮比」になります。
ざっと計算式を書きますと、
+
ヘッドガスケット容積
+
ヘッド内燃焼室容積
−
ピストン頂点の膨らみ部容積
=シリンダー側「容積」
排気ポート開き始めの位置からシリンダー上面までの容積
+
ヘッドガスケット容積
+
ヘッド内燃焼室容積
−
ピストン頂点の膨らみ部容積
=ヘッド側「容積」
ピストン上死点での肩落ち分の容積(肩落ちが無い場合は無視)
上記の例えの数値、スーパーDio-ZXの場合の「有効圧縮比」は「シリンダー側:ヘッド側」で
7.14:1
という事になりますね。
長くなりましたが、これがスーパーDio-ZXの場合の「有効圧縮比」の数値になります。
(ピストンの肩落ちが無いベースガスケット設定のノーマルエンジンという場合です)
と、この数値、どこかで見た事がある方はいらっしゃいませんかね(笑
小数点2位以下切り捨てだと7.1:1といった数値になるのですが。
…これ、実はサービスマニュアルや諸元表に書かれている「圧縮(比)」の数値と同じなんですよ。
もうお分かりでしょうが、この計算式の解はメーカー発表数値とも合致する事から、本当に正確な圧縮比と言う物は
メーカーでもこの計算式と同一な手法を取り、なおかつそれが「圧縮比」の定義とされている事が
裏付けられるかと思いますよ。
やはり、数値で出せて一番アテになる所を計算して明記している、と考えればこれほど基準値にふさわしい物も
無いかと思います。
後、いらん補足ではありますが上で仮に計算していた件をもう一度数値で出しますと…
排気量+ヘッド+ガスケット容積÷ヘッド+ガスケット容積でも
(49.43+5.7+0.65)÷(5.7+0.65)=8.78
なので、ピストントップ膨らみ部分やピストンの肩落ち、排気ポートの意味をきちんと加味しなければ…
全くもってアテにならない計算方法である、と言う事も覚えておいて頂きたいです。
と、以上で各計測部と計算式の紹介はおしまいです。
あえて分かりづらい様に計算式そのものにはまとめてはいませんが、各部の容積がどの様に
相互に干渉するのかをご理解頂いた上で「計算」を行って頂きたいと言う狙いがありますので
その辺りはご容赦下さいませ。
…式だけ紹介し数値あてはめてポン、と言うのではさすがに私がだらだら解説する意義がありませんので、ね。
正直な話、結果だけ求められても困るって事です(笑
圧縮比と言う「数値」を求めているのですから、何がどうなっているのかを理解しなければ、
現状のエンジンはともかくとしても圧縮比を変えたい時等に困りますので…
なおちょっとだけ補足ですが、こういった有効圧縮比の計算の場合、排気タイミングが同一でも、
排気ポート上面の形状によっては、厳密にはわずかに圧縮「圧力」は変化しているはずです。
山形ポートで頂点からポート末端までの落差が5oとかある場合だと、実際の圧縮比よりは
いくぶん圧縮圧力は高くなってしまう傾向があります。
が、これは前述したチャンバー効果での混合気押し戻しでの混合気再充填効率と同じで、ある意味
「簡単な計算では出せない」物なので、この辺りは実走やデータに頼る事も必須になって来ますね。
ちなみに私が出来る限り「上側一直線の排気ポート形状」を好むと言うのもこの辺りに理由の一つが
あったりしますよ。「誤差」は少ないに越した事はありませんからね。
で、そのチャンバーのカデナシー効果による混合気の再充填効率、これは正直、計測のしようがありません(汗
パワーバンド内で一番混合気充填効率と排気の同調が取れる回転数で、「圧縮比」ではなく「圧縮圧力」を
計測する事が出来ればそれも可能かとは思いますが、そんな事事実上不可能です。
…ここで「そんな時の為にコンプレッションゲージがあるのでは?」と思う方もいらっしゃると思いますが、
私はいつも言っている通り、コンプレッションゲージは全くアテにしない人なんですよ。
それと言うのも、あれは「圧縮比」を測る物ではなく、圧縮圧力を測る物なのでアテにしないんですね。
何故かと言いますと…コンプレッションゲージは通常、プラグ穴にアダプターをねじ込んでキックを踏み、
いくらの圧力がヘッド内にかかったか、を計測する物ですが。
正直、人力でキックを踏んでもエンジン回転数は数百回転にしかなりません。
パワーバンド回転域でもなく、エンジン負荷もかかっておらず、なおかつチャンバー効果など望むべくもない
人力キックの力程度で計測した「圧縮圧力」なんて全く何の約にも立たないと思ってますので。
サービスマニュアルに書いてある「圧縮圧力」の数字も、「10.5kgf/cu-600rpm」とかってありますよね?
これは正確に600rpmの回転数でクランキングした時に圧縮圧力が10.5kgf/cuと言う事です。
…毎回毎回600rpmで正確にキックもしくはクランキング出来ますか?(笑
この数値さえも、2stではあくまで「フルノーマル新車状態でのエンジンの調子を判断する基準」にしかなっておらず、
この数値に絶対的に頼る物ではありません。
もちろん、エンジンを作成した直後に圧縮圧力を計測しておき、事後のエンジンの調子を見るのには
コンプレッションゲージも役立つとは思いますが…
ぶっちゃけた話、コンプレッションゲージは基本的には4stエンジン用の計測器具であって、2stに使って
数値をアテにしてエンジン作りを行う物では無いんですよ。
これは最初に記しましたが、4stだと一回の圧縮→爆発工程でも、バルブによってきっちりとシリンダー内が
密閉状態になっており、吸気行程とは完全に別のセクションにて「圧縮」を行えています。
そういった、内容積にあまり誤差の無い、なおかつ「圧縮」そのものが高効率で行えている場合だと、
まだコンプレッションゲージの数値にもそれなりに信頼性が持てると言う物です。
圧縮工程が壁に穴だらけ、1次圧縮もありしかもチャンバーである意味過給される要素も持っている2stだと、
数百回転程度の回転数ではエンジンとして有効な圧縮圧力の数値を得る事はまず無理、だと思いますよ。
もちろん、自分で基準値を決めてしまえばセット等にも役立つ物ですが、他人の圧縮圧力を聞いてどうこうと
言うのは・・・エンジンが全く同一の構成で作成されでもしていない限りほぼ無意味、だと断言しても良いです。
それに加えて、個人的な見解ですが近年は圧縮比と圧縮圧力をごっちゃにする人が多いと思います。
コンプレッションゲージが安く買えるってのが一番の原因だとは思うのですが…
正直、この2つは上記の様に全く別物なので、ヘッド面研やポート加工を行った場合は、一応の計算で
「正確な有効圧縮比」を出しておくのが最良だと思いますよ?
…以前ちょっと耳にした件では、
「圧縮が10」とは「圧縮圧力が10kgf/cu」の事だ
コンプレッションゲージで10kgf/cuあるから圧縮比はOK
等といった事も聞いた事があります(笑
正直、間違っているにも程がありますね。
通常、「圧縮」と問われると「(有効)圧縮比」の事を指すのであり、「10:1」であれば「10」と答えるのが
普通の「圧縮比」の解釈ですので。
そして「ゲージで10kgf/cuあるから"圧縮比"はOK」…なんて意味が分からないですね(笑
別に日本語の言い回しや表し方にちくちく細かな文句を垂れるつもりはありませんが、こういった
「本当に意味合いが別物」な事柄は、正確に把握しておかないと他人様との話が通じない場合に
一番困りますのでね…
コンプレッションゲージの数値にしても、それは自分基準にしかならない事なので、人様と比べるのは
あまり良い事とは言えないかと思いますよ。
では最後に。
上で出したスーパーDio-ZXのノーマル圧縮比ですが、これは7.1:1といった数値になっていますね。
ではどの位の「圧縮比UP」であれば安全な範囲…と言いますか常軌を逸しない物なのかを少々。
一応の個人的基準と言いますか、私が作成するエンジンでは基本的に、安全な範囲としている数値は
8:1以下、8.5:1を超えると少し危険といった感じです。
もちろんこれは排気タイミングが変わっている場合は、上記の計算式で「同じ圧縮比」になっているとしても、
相対的なヘッド側容積もそれなりに変化させている物なので、排気ポートタイミングや使用ピストン、
シリンダーのかさ上げ具合が全て同一数値で無いと「燃焼室容積」のみでは物は語れない、と言う事も
含んでいますよ。
仮に排気タイミングが上から20oと25oのシリンダーだと、どちらもヘッドが同じ容積であっても同じ「圧縮比」に
なるワケがありませんからね。
また一つの例えで、ノーマルヘッドを0.8o面研したと仮定します。
もちろん0.8o程度の面研だとスキッシュ部分のハイトが変わるだけで、ヘッド容積そのものは
ボア径と削った量(高さ)のみで求められますね。
スーパーDio-ZXの場合スキッシュエリア径が39φですので、
(19.5×19.5×π×0.8o)=0.95cc
5.7cc-0.95cc=4.75cc
ここで先程の計算式で他の部分を同一だとして圧縮比計算を行うと…
圧縮比は約8.6:1となりますね。
この圧縮比だと…正直他の箇所をノーセッティングでは個人的にはちょっとまずいかなと思う範囲ですね。
排気タイミングを上げれば問題無く使える範囲かと思いますが、あまりに計算上の圧縮比が高い物は
最高回転数が落ち込んだり、高回転で異常燃焼を引き起こしたりしますので。
ちなみに現時点での私のSSマシン、SA仕様Gダッシュでも圧縮比は「8.7:1」程度ですよ。
そして、排気タイミングを上げる方向にポートを加工した場合、圧縮比の補正は必須となってくるので、
これをきちんと数値で管理しないと、回るだけで前に進まないエンジンになってしまう事も多々あります。
と言いましても、現在使っているヘッドの容積を把握し、いくら面研するかを決定するのを考える位でも
ポン付け全開走行よりはいくぶん安心出来るかと思いますよ(笑
特に、チャンバー等が装着されている場合は、特性により圧縮圧力は上がる傾向になる場合もあるので
体感だけでは不味い部分がある事も付け加えておきますね。
…明らかに燃焼室形状が違っていて何o面研、と言う品も、面研の数値だけでは「ノーマル比容積」の把握には
まずなりませんし、高回転型のポートタイミングにしたシリンダーだと、「ヘッド容積」のみだと思った以上に
小さな容積でやっとノーマルと同じ「圧縮比」になるのが普通なので、とにかく計算と各部把握が必須なんですね…
そしていっつも私が言っている、「下手にポートをいじられたシリンダー」なんてのは如何に圧縮比が無茶苦茶に
なっているかを考えると恐ろしい、と言う事もご理解頂けるかとも(笑
…ここだけの話、「5.5:1」って圧縮比のシリンダー&ヘッドキットってのも見た事あります(汗
と。滅茶苦茶長くなってしまった上に今回も文字ばっかですが(笑
一応、私の定義する「圧縮比」と言う物をご紹介しました。
これは…正直今回は、「圧縮比」といった言葉の定義として絶対に正解だと思っていますよ。
各部計測数値を基にした数値がサービスマニュアルの数値と合致しますし、なおかつ2stでの
「圧縮比」と言う物は巷に氾濫しているおかしな表現では無く、理論的にも当コンテンツ内の説明で
一番つじつまが合っていると思いますので、ね。
ちょっと各部計測には難しい部分もあるかとは思いますが、自分のエンジンの圧縮比はきっちりと把握し、
その上でシリンダー等のトータル構成を考えるのが良いかと思いますよ。
解そのものは小学生LVの算数が出来れば間違い無く算出出来ます。小難しい公式なんか全く使ってませんしね(笑
と言いますかそんなモノ私も分からな(以下略
各部容積計測にはノギスと穴開き透明アクリル板、スケールの小さい注射器程度で可能なので。
わざわざコンプレッションゲージを買うよりははるかに安価で正確な方法だと思いますよ?