ご紹介してみたいと思います。
とはいえ、この変速比というモノはベルト駆動のスクーターにおいてはイメージとして一見適当にも見えて
しまいがちな物なのですが、実際にはかなりきっちりしている物である、という事を最初に記させて
頂きますね。
落とし込みが大きいからローギヤード」だとか、そういった曖昧な事ではなくきちんとした計測も
数値化も出来る物でして…個人的にはこの変速比の件は、スクーターチューンのまず一番最初に
学んでも良い物である、と考えていたりしますよ。
なので「駆動系解析編」の項目の一番上に持ってきたりしていますが、実際の更新時系列としては
コンテンツ内では後の方だったりしますんで、記述内容が「下」のコンテンツと前後している場合も
ありますのでご了承下さい。
勘違いされている方も多いと思われる部分なので、コンテンツ自体はかなり長いのでよろしくです。
いつものクチですが、書いてある事を一度読んだだけで全てが理解出来るという事はなかなか難しいと
思いますので、じっくりご堪能下さいませ。
ではいつもの目次です。
・サービスマニュアルにおける「変速比」の解説と定義
とはいってもご存知の方は多いでしょうが、おさらいだと思ってお付き合い下さいな。
まずこの「変速比」という言葉ですが、これは言葉の意味合いとしては
が、私はサービスマニュアル表記に則り、ファイナルギヤを除くスクーター駆動系の場合は「変速比」として
表記していきますのでご了承下さい。
機構である、と解釈しても良いですね。
エンジン回転数とタイヤ回転数は一緒の回転数ではありませんが、エンジンが10000rpm回っていても
リヤタイヤは1000rpmで回っている、といった状態にさせる事が「減速」であり、その回転数の対比を
表す値が「減速比」となります。
決められた減速比が割り振られており、エンジン回転数とリヤタイヤ(車の場合はリヤとは限りませんが)の
回転数の差を決めている、もしくは自由に決められるという事ですね。
ちなみにこれが仮に、エンジン10000rpmに対してタイヤが11000rpm回っている状態であれば、これは
「減速」しているのではなく「増速」していますから、「増速比」と呼びます。
いった値をメインとしますから、ドライブ側0.8回転でドリブン側が1回転する、といった場合だとこれも減速では
なく増速している、といった解釈になります。
しかし、言葉の切り分けがややこしくなるので、当サイトでは1:1を下回る対比の場合でも「減速(変速)比」で
統一していきますのでよろしくです。
…ここを読まれる方であればおかしな勘違いは無いと信じますが(汗
次に、サービスマニュアルにある「変速比」の値、といった物を解説していきます。
大抵のスクーターならば「2.450〜0.850」といった数値が記されていますね。
一例でライブDio-ZXならば「2.850〜0.860」となっており、その間が実質の変速比変化値、となります。
これはエンジンからの「1次減速」であり、クランクシャフトの回転数をまず1番目に減速するところ、と
いう事でして、「2次減速」はファイナルギヤのトータル減速比という事です。
ちなみにファイナルギヤ減速比も1次と2次に分けられますが、これはギヤ部分トータルでの減速比を
算出しておくのが一番でしょう。
余談ですがDio-ZX系だと1次13-41、2次13-45なのでこの場合だと(41÷13)×(45÷13)=で「10.914」になります。
駆動系の変速状態における、「最高」と「最低」の減速比を示しており、私の解釈としては
要は通常のマニュアルトランスミッションで言う、1〜6速までの減速比変化と一緒です。
スクーターの場合はミッションの段数が明確に区切られている訳では無いので、「無段」変速と
表されている物ですが、ミッションの段数が決まっていないからといって、明確に変速比という物を
数値化出来ない訳では無い
これはスクーターの無段変速CVTでは曖昧なイメージしか無い方もおられるかとは思いますが、実際には
そんな事は無くそれなりに正確に分析、把握を行うことは可能で、それは各部計測による逆算から
行っていけたりします。
次に、言葉の意味合いとして混同しやすい部分をもう一つ記しておきますね。
スクーターの駆動系の場合、「ドライブプーリー側のベルトかかり径が大きくなっていく」状態をもって
変速していく、といった表現を行うのが一般的ですが、最大までドライブ側のベルトかかり径が大きく
なった状態を最大変速状態と定義します。
小さくなった場合、その回転数の対比としては「比が大きい」んですね。
ハイギヤード側だとドライブ:ドリブンの回転数比は1:1とかですから、この場合の減速比は「1」です。
対してローギヤード側だとドライブ:ドリブンの回転数比は2.8:1とかなので、この場合の比は「2.8」です。
通常、よほどの特殊設計でも無い限りはハイギヤード側のトップギヤ比が1オーバーって事はありませんし
減速比をどんどん下げる、すなわちエンジン回転が低くとも速度が出ている、といった方向性がハイギヤードに
なりますからね。
変速比としては「2.850」、すなわち「ドライブユニットが2.85回転すればドリブンユニットが1回転する」と
いう事です。
対して、駆動系が一杯まで最大変速した最大変速状態の変速比は「0.860」、これは「ドライブユニットが
0.86回転すればドリブンユニットが1回転する」という事になります。
これが基本中の基本になるので、じっくりイメージをこしらえてから先にお進み下さい。
・変速比の計測その1 「実回転計測」と「プーリースライド量」の把握
まず、全ての計測&計算において基準値となる値は「最大変速比」になります。
要は一番ローギヤードな変速状態を把握するのが全てのスタート地点となるという事です。
「かかっている(巻きついている)」ワケですが、これは全周ではありませんがほぼ半円を描いている状態を
維持していて、その「ベルトかかり径」が大きなポイントになります。
ベルトが円周状に巻きついている部分を「直径として見た状態」、という事ですね。
もっと簡単に言えばスプロケットとチェーンの関係と同じです。
ほとんど減っていない慣らし済みベルトや、駆動系に齟齬や色気や劣化の無いフルノーマル新車の状態を
用意してやる事が第一歩となります。
いつものクチですが、ノーマル純正状態も把握出来ないのに、社外品パーツの把握なんて
出来る訳が無い
入っていたり、各パーツが減っていたりしても「ノーマル準拠」の計測は出来ないので注意です。
個体差や純正誤差は当然のごとく存在しますが、それを論じたり勘定に入れたり出来るのはまず
「自分の車輌のフルノーマル状態」を把握出来てからの話になるのは言うまでも無いかなと。
暖まった状態で計測するのがベターになります。
ゴムのベルトはただ挟まれているだけでも幅の潰れは生じていますし、冷間時と温間時では全く同一の
結果にはならない事が多いので。
なお計測前に実際に走行させない場合でも、
「エンジンを一度始動させベルトがきちんと所定の位置に収まっている事が絶対条件」
駆動系を組み込んだ直後等、ベルト位置が定まっていない場合は計測出来ませんのでご注意をば。
それではここからは実際の計測方法をご紹介していきましょう。
まずは…最小変速状態の最大変速比を、
話なのですが(笑
実はこれ、ファイナルギヤやスプロケット&チェーンでも同様の手法で減速比の把握を行う事が
出来たりしますが、ベルト駆動変速機だからといってこれが出来無い訳では無いんですよね。
…知っている方には当たり前の手法ではあるのですが、ファイナルギヤをバラさずにギヤ減速比を
測る方法は知っていても、それを駆動系というかドライブ&ドリブン変速比に応用している方というのは
あまり多くは無いかな、と私は感じていますので1からご説明していきます。
ドライブユニットもドリブンユニットも「何回転したか」を出来る限り正確に把握しなければいけないので
きちんとした目印が必要ですね。
・ドリブン側はトルクカム皿の一箇所とクランクケースにマジック等で合わせマークを記す
具体的にはこんな↓感じでしょうか。
ドライブ側は…ちょっとズレてますがドライブフェイスに対してクランクケースを基点とし、ドリブンユニットは
ドリブンユニットのお皿、トルクカムに対してクランクケースを基点とします。
これは双方共に「ここが0回転ですよ」といった基点になりますが、目印になってれば何でも良いですね(笑
あ、ドリブンユニットの場合はクラッチアウターに基点を取っては駄目ですよ?ドライブユニットを手動で
回転させたのではクラッチアウターは回りませんので(汗
良いでしょう。
実際はこのドライブユニットは2回転といくら、といった感じまで回転させるので、こんがらがるのを防ぐ意味合いもありますね。
0.125回転単位、という数値だけを見ても、意外と細かいところまで把握出来そうだ、って感じがしませんか?
…実働時の把握としてならば正直0.1単位とかの把握で上等ですが(笑
そして、こうしてドライブ&ドリブンユニット双方の基点、すなわち「0回転」の位置を確かめた上で、ドライブ側の
ユニットを手でくるくる回していきます。
これにおいて、
変速比は、「2.500」となっています。
(※この場合は固定値ですから「減速比」でもOKかと)
いますが、その駆動系構成での最小変速状態の実回転値は「2.796回転」といった所でした。
重ねて言いますが、ここまで細かく把握する必要はありませんが、ドライブフェイスの十字線をアテにして
いる場合にはこの位までは一応把握出来ます、という事でよろしくです。
このホンダドライブフェイスにはセル用のギザギザ山があるので、それの数を数えて十字線1つ分の内、
8山分の3山目位で丁度ドリブン1回転ポイントでした。
なので0.125÷8×3=0.046、これに2.75を加え、最大変速比の手回し値は「2.796」とします。
以後、この実測数値を基準としていきますのでよろしくです。
(※構成データ=プーリー等は全てノーマルライブDio-ZX、ボス36o、ベルトGAG-750で17.9×672o)
この実回転計測による最大変速比を把握すれば、多少のパーツ個体差や温間、冷間時の
誤差はあるとしましても、おおむねの値として
ライブDio-ZXのサービスマニュアル値における最大変速比は「2.850」なので、それなりの
近似値といって良いでしょう。
対して極端に狂っている車種は見た事が無いんですよ。
変速比の数値的に言えば0.2以上も狂う、なんて事はまず無かったです。
サービスマニュアル値が「2.500」なのに実回転2.8回転、といったパターンは存在せず、もしもそうなるので
あればボスワッシャーが追加されているとか、寸法が異なるベルトが入っていた、といったオチなので(笑
相当しますから、何かのパーツ構成がおかしいか、計測に不備がある証拠でしょうね。
(ヤマハ系スクーターの場合、純正でボスやシムワッシャーに様々な種類があるので特に構成に注意です)
個体差やパーツ誤差もありますが、一応の近似値が出る事を良しとし、これは全ての基準となる部分なので
社外品等を使った駆動系構成でもまずこれを把握するのが基本となります。
メーカー側(これはホンダやヤマハという意味ですよ)は静時の「実回転」数ではなく、実際にアクセルを
開けて負荷が掛かった瞬間の最大変速比をサービスマニュアルに記している可能性もある為、この
計測結果は絶対値ではなく「近似値」と解釈する事も付け加えておきますね。
(※完全温間時には冷間時よりもベルト幅が潰れたりして全く同一の状態にはなりえませんし、無負荷で
「張っていない」ベルトがエンジンを実働させて「張られた瞬間」も同義です)
さて、この手回しにより最大変速比の「実回転計測」を把握出来たならば次の段階に進みます。
次に必要な計測値としては、「プーリー本体の横スライド量」になりますね。
これは前述の最大変速比を元に、最小変速比を算出する為に必要な値なので、これが無いと
最大〜最小までの変速比が把握出来ませんので…
ここで一つの基点として、「プーリー頂点からボスが何o出ているか」を測っておくんですね。
これをプーリー本体のストローク量を計測する為の基点とします。
実際にWRを移動させたりしながら最大プーリーストローク状態をこしらえ
これはやりやすい様に単体のクランクシャフトを使っていますが、左の写真の様にWRを目視で移動させていき
実際にプーリーが最大ストロークしている状態を仮に作り出します。
ちょっとコツが必要で難しいですが、まずはこれに慣れないといけません(汗
…こねくり回していればその内把握出来る様になってくるので練習あるのみですね。
WRガイド部分に粘土を詰め込むとかの手法を用いたり、場合によってはプーリーをぶった切って
この計測を行うこともありますんで、自分自身がやりやすい手法を見い出しましょう。
計測用クランクシャフトを用意出来る場合だと、ドライブフェイスも仮組みした方が分かりやすいですね。
(ドライブフェイス表側からプーリー裏側までの幅を測る、等)
ストローク状態でのボスの突出具合が右の写真で見て取れます。
この時点でボスにマジックで線を引き、突出が何oかを計測すれば、無変速状態のボスの突出量と
比較すればプーリーのスライド量が把握出来ます。
なお実測値として、このプーリーのスライド量は約「10.5o」になっています。
例えば、このホンダのボスだと36oですが、ドライブフェイス側には2o程度のボス径と同じ
突起物が存在しますし、だからといってプーリーの最大スライド時にボス末端まで全てスライドして
いる訳ではない、という事です。
ありませんし、これは実測にあたって気を付けねばならないのでご注意をば。
WRだけを見ていても、プーリーのフェイスタッチより先に外壁にWRが当たるのではプーリー自体の
横スライドはそれでおしまいですし、逆にWRがガイド外側一杯まで移動していない状態でプーリーと
フェイスが接触する事も当然のごとく存在しますので、ね…
さて、これでプーリースライド量の計測と把握はおしまいです。
この数値と、先程の実回転計測による最大変速比をもって最小変速比を計算していきますが…
その前に、こういった変速比計測&計算においてとても大切な事を記しましょう。
と言いますかこの件こそがこのコンテンツのメインになります(笑
・変速比の計測その2 「ベルトかかり径」の計測
双方で計測していきましょう。
なおこれを「ベルトかかり径」と呼びます。
実際の計測においては実はココが一番大切な点でして、これをきちんと計測した上で、前述の計測の
方法である「実回転計測」と照らし合わせる、といった方向性こそが、計測ミスを無くせる上に色々な
部分の整合性も取れる、といった感じのとても大切な事になります。
「駆動系の温間時」に計測したいところではありますね。
とりあえず出来る限り正確に計測する事から始めます。
ベルトとフェイス面の境目ギリギリの所、すなわちベルトのカド的な部分にマジックの先を当て、ユニットを
回転させれば円となったマジック線が描けます。
これをドライブ側&ドリブンが双方で行う訳ですが、ドライブ側は車種によりマジックが入れづらい事も
ありますので臨機応変な工夫も必要ですが。
「進行方向側」からマジックを入れ、ベルトかかり径が一番小さくなっている部分を狙ってマジックを当てるのが
良いでしょう。
こんな感じですが…左側の写真分かりづらいですね(汗
いつもの手袋で写真撮ろうとしたら汚すぎたので、慣れない軍手が目立っていて見えづらいですが…(笑
要はマジックの先端をベルトの外周に当てておりこの状態を維持したままドライブユニットを回して
プーリー本体に円を描く、という作業になります。
右側の写真だと分かりやすいと思いますが、ドライブ側だと進行方向側にマジックを当てて円を描きますが
「ベルトかかり径が一番小さくなる部分の円を描く」という事ですね。
ドライブユニットを逆回転させて円を描いてもOKなので、とにもかくにも計測ミスが出ない様に
細心の注意を払いましょう。
ユニット自体も1回転ではなく、2〜3回転位させておけば円描きの安定度も上がりますよ。
ドリブンユニットに円を描いていきます。
半周分位の範囲であればどこにマジックを当てていても正確なベルトかかり径の円が描けますね。
こちらも一部の車種なんかはちと難しかったりもしますが…文句無くやりやすいのはヤマハ系でしょう。
ホント、こういう面でもヤマハ系スクーターってデメリットが無いのは素敵過ぎると思ったり(泣
ここでノギスを使い、「ベルトかかり径」の計測を行いましょう。
ここで「ベルトの外周部分が掛かっている径」が目視でも把握出来ると思いますが、計測のコツとしては
マジック線を描いた円の「ギリギリの内側径」を計測するという点ですね。
マジックでなぞったのはあくまで「ベルトの外周部分」と解釈しても良い線なので、円のマジック線の外側を
計測したのでは不正確になる、と言いますか後の計算でかなりの齟齬が出てしまいますんで。
左の写真では事実上の「内径の計測」なのに外側計測を行っているノギスの使い方に見えるのは
そこに理由があり、ノギスのジョウ部分でマジック線を隠しているという感じの方が計測しやすいからです。
ノギスを当てるべきですね。
一例に挙げているこのホンダ系大径3ピンドリブンユニットでも、150oスケールのノギスを使用した場合は
腹の部分がドリブン中心部の円筒につっかえてギリギリ測れないといったパターンもありますんで(笑
…写真撮影時点ではバラしてませんが、一応教材的な数値を出す為にこの後ちゃんと測ってますよ。
慣れてくればセンタースプリングだけ抜けばなんとか測れますが、「最初の基準」を取るのであれば
面倒くさがらずにきちんとバラす事が大切です。
はみ出ているとかの構成であれば当然マジック線なんか引けませんが、そんなもんは計測云々の前に
駆動系の構成としておかしい為にハナから問題外ですのでよろしくです。
もちろん、最小変速状態でベルト裏側がボスに当たっているとか、トルクカム閉じ側ストロークの余裕が
全く無いとかの無茶構成でも正確な計測と計算は無理なので。
そして次に、ドライブ側&ドリブン側共にベルトの最外周部分がかかっている径の計測値を出します。
今回の一例のライブDio-ZXノーマル駆動系だと、マジック線で取ったベルトかかり径は
まず、これは一般的に行われる事もあるかと思いますが、この双方の「ベルトかかり径」の数値を元にして
単純な最大変速比を計算してみましょう。
これは本当に単純ですが、計算としては
わざわざ手回しでの「実回転計測」とマジック線よる「ベルトかかり径計測」を行ったのは、この点にある
矛盾と言いますか不整合性をご説明したかったからなんですよ。
その寸法を割った値では「2.628」と、かなりの差があります。
実回転計測にしてみれば、実際の手回し回転を行っている場合に0.17回転位もの誤差が出ていれば、
確実に目視で気付く範囲なんですよね。前述の8分割マジック線の1目盛り以上ですから。
しかも、これがサービスマニュアル記載値の「2.850」との比較だと0.2以上の差が出てしまっています。
変速比となっているのに…
考えてみて頂きたく思いますよ。ここまでで出している情報のみでその要因に対し矛盾の無い説明が
行える様に思考実験を行っても面白いかと思いますです。
さて、ここからは最大変速比における「実回転計測」と「ベルトかかり径計測」に何故齟齬が出るのか、を
ご説明していきたく思いますが…
これはですね、実際に実働時の負荷が掛かっているかどうか、なんて事は関係無かったりしますよ。
そもそも、これは実回転計測でもベルトかかり径計測でも、どちらも「実働していない」のですから(笑
静時の計測において齟齬がある、という事はそれすなわち、どこかが違っているという事に他なりません。
これがとってもとっても大切なポイントになっています。
フェイス面、すなわちプーリーやドライブフェイス、ドリブンフェイス等のベルト摺動面に対して挟まれている
訳ですが、いくら摺動面とはいえある程度はグリップして喰いついていないと全く駆動力を伝えられません。
摺動面に均等な力で食い付いているのでは無いんですよ。
これ、ベルトを真横から見てみればその理由ってすぐに分かるんですよね。
ベルトに入っているケブラーの部分、一番強度を持たせられている「芯」の部分ってありますよね。
これって「どこ」に入っている様に見えるでしょうか?
少なくとも、ベルトかかり径計測においてマジックを当てた部分では無いですよね。
側面の一番上側、背中部分ぎりぎりではなくもっと下がった所に芯線が入っています。
これ、単純に考えれば一番力の掛かる部分に対して補強が施されている、と考えても何らおかしくはなく、
よく「ベルトの強度」って引っ張り強度ばかりが問題にされていたりしますが、そういった点もふまえれば
一番強く挟まれている&引かれている部分、すなわちそれなりの強度が必要な部分は
ただのゴムのみでは無い構成
上面から2o程度の部分に芯線が入っている事が多く、Vベルトという物は
カド部分がぐりぐりとグリップしている印象があると思いますが、実際にはそんな事は無いんですよ。
もし、本当に上面ギリギリの側面部分が最大負荷に晒されるのであれば、上面ギリギリの部分に強度の出る
芯線が入っていないとおかしいですからね。
一番力の掛かる部分を補強する、といった点を鑑みてもこれは当然の事だと私は分析しています。
…なので、前述の「ベルトかかり径計測」ではあくまで「ベルトかかり径部分の最外周」にマジックを当てて
なぞってみて円を描きましたが、それは実動時にグリップ作用している部分では無いという事です。
単純に、「ベルト上面から2o程度」の部分がグリップし、実際にドライブ&ドリブンユニットを回しているのですから、
ベルトかかり径の計測値からマイナス2o分、すなわち直径で「4φ」を引いた直径が実際の
ベルトの「グリッピングポイント」となる
ちなみにグリッピングポイントってのはもちろん造語ですが便宜上しっくりきたので(笑
図中の説明文通りでして…ドライブ&ドリブンユニット共に回転させていて、実回転計測では実際の
変速比と言うか減速比ははっきり出るのですから、厚みも角度もあるVベルト側面のどこかしらは
「点」となって回転半径に相当している部分があるんですね。
これが側面上端のカド部分ではない、という点が大切なポイントでして、仮にこれがVベルトではなく
断面の丸い棒みたいな物がかかっている場合の接点部、を考えてみればイメージもしやすいかと思います。
ベルトのカド部分ではない
ドリブン側ベルトかかり径111.2φ → マイナス4φ=「107.2φ」
0.002の差であればさすがに公差の範囲内、としても良いでしょう。
ベルトの上面から2oの点、ベルトかかり径の最外周直径より4φ小さい径でグリップしている、といった
点に関してはこれで実測との齟齬は無くなります。
要はこの場合いちばんローギヤードな状態の最大変速比は「2.798」程度と判断して良いでしょう、という事が、
実回転計測とベルトかかり径計測+補正の両方を行って初めて整合性が取れるんです。
手回しによる実回転計測とかなりの齟齬が出ますし、無視してはいけないポイントになりますよ。
そして、この最小変速状態の最大変速比の値こそが、ここからさらなる変速比を求めていく材料となって
くるので、ここで大きな齟齬があってはいけないという事も付け加えさせて頂きます。
「ベルト外周面側かかり径」で計算、という手法を見た記憶がありますが、その計測方法では間違いなく
「実回転計測」やサービスマニュアル記載値とはかなり異なった値となってしまいます。
もちろんこれはメーカーの開発にでも伺わなければ本当の所は分かりませんが、少なくとも2方向から
立証を行って齟齬がほとんど無い、となれば計測方法として間違ってはいないかな、と分析していますね。
あ、ちなみにコレ、1車種と言いますかひとつの駆動系構成のみ、大幅にサービスマニュアル記載値と
齟齬があった車種があるのですが、それは最後のオマケで記しますね。
これもいつものクチで、1車種しか見ないのでは絶対に気付かない事であるという罠です…(汗
何故にベルト上面から2oなのか、という疑問が出る方もおられるかと思いますが…
これは実に簡単な話で、ベルトのかかり径の外周部分では「実回転計測での変速比」と合致しないならば
どの位の直径でベルトがかかっていれば実回転変速比と合致するのかを逆算してみればすぐ
答えが出てきますよ。
…とはいってもこのVベルトかかり径のピッチ円という物を正確に求めるにはかなりの試行錯誤があったと
いう事も付け加えさせて頂きますね。言葉にすると簡単ですが立証するには過去に苦労したので(泣
・変速比の計測その3 「プーリースライド量の変化と変速比の変化」
最大変速状態における「最小変速比」を求めていきましょう。
すなわち、ドライブ側ベルトかかり径が最大に、ドリブン側ベルトかかり径は最小になっており、一番
ハイギヤードになっている状態の変速比、という事ですね。
この移動距離、横スライド量が増えれば、ドライブ側ベルトかかり径はどんどん増大していき、逆に
ドリブン側ベルトかかり径は小さくなっていく訳です。
もちろん、「"ムーバブル"ドリブンフェイス」であるトルクカム皿も、ドライブ側と「横スライド量」は全くの
同一値になります。
利用すれば良いだけで、実際はここまで来ると概算として最小変速比を出すのはさして難しい事では
無かったりしますよ。
ここではホンダスクーターの例を出しますが、プーリーのベルト摺動面には「角度」が付いています。
Vベルトといった断面がV字形状のベルトを、「側面から押してかかり径を増大させていく」為には絶対に
必須の構成なのですが、これは基本的にホンダ系スクーターは15°に設定されています。
もちろんこれは合方のドライブフェイスも同じです。
(※ドリブンユニットのお皿にも同じ角度が付いています)
テーパー角度が付いているので、この動作という物は実は
これは初耳の方もおられるかもしれませんが、最初に記した様にこの辺りの動作というモノはそこまで
適当でもフィーリングがどうこうという事でも無いんですよ(笑
ホンダ系スクーターの15°面の場合だと、プーリーが横に1oスライドした場合、そこにかかっている
ベルトのかかり径は直径で「3.73φ」変化していきます。
1oのプーリースライドが起こった場合、ドライブ側&ドリブン側双方に対し「3.73φ」のベルトかかり径変化で
良いのですが…
ヤマハ系のみは摺動面角度は14°が基本なので、この場合はプーリー1oスライドに対しての
ベルトかかり径の変化は「4.01φ」となります。
正直、ヤマハが一番把握も計算もしやすかったりするという(以下略
が、これはプロトラクターで実計測しておくのが一番良いですね。社外品なら特に、ですが…
ざっとした変速比計算においては、プーリー1oストロークに対して4φのベルトかかり径変化だと
記していますが、あれはあくまで物事を分かりやすくする為の仮定なので、厳密に計算等を行う場合は
こちらのコンテンツの様な事になるワケなのでご了承下さい(汗
・最小変速状態でのドリブン側「実」ベルトかかり径=107.2φ
ドリブン側は10.5o×3.73φ分ベルトかかり径が小さくなっていく
・最大変速状態でのドリブン側実ベルトかかり径=107.2-39.165φ=68.035φ
プーリースライド量の変異に対するベルトかかり径変化なので…
このドリブン側ベルトかかり径をドライブ側ベルトかかり径で割ってやれば、
「15°の面角度のプーリーが10.5o横スライドした状態の変速比」
が算出出来る訳ですね。
…しつこい様ですが1:1を下回っているこの数値は本当は「増速比」ですけれどね。
一応の近似値の範囲、という事で納得しています(汗
「最大」変速状態の実回転計測なんてどうあっても不可能ですし、プーリーの実動時の横スライド量も
なかなか正確には測れない物なので、公差という事にしておきたく思いますよ。
さすがに0.018程度は勘弁しておきましょう、という事でひとつ。
(※ホンダ系後半90°トルクカム溝車の場合のみ、最大変速時でのアクセルOFFシフトアップは
起こらないので、ボスにマジック線を引いておけばプーリースライド量とほぼイコールにはなりますが)
というワケでして…
前述の計測値を元にし、変速比を算出した解を下記にまとめます。
・ドライブ側ベルトかかり径42.3φ 実かかり径マイナス4φ=「38.3φ」
・ドリブン側ベルトかかり径111.2φ 実かかり径マイナス4φ=「107.2φ」
107.2÷38.3=「2.798」
※実回転計測値「2.796」で近似値
・ドライブ側ベルトかかり径42.3φ 実かかり径マイナス4φ=「38.3φ」+39.165φ=「77.465φ」
・ドリブン側ベルトかかり径111.2φ 実かかり径マイナス4φ=「107.2φ」-39.165φ=「68.035φ」
・68.035÷77.465=「0.878」
サービスマニュアル記載値の変速比は「2.850〜0.860」なのでほぼ合致として良いでしょう。
場合だと、
・ドライブ側ベルトかかり径「最外周部分の径」=77.465+4=81.465φ
・ドリブン側ベルトかかり径「最外周部分の径」=68.035+4=72.035φ
こうなりますが、Dio-ZXノーマルプーリーの外径は87.5φ程度なので、まだベルトかかり径としては
最外周のキワまではおよそ6φ分程度(片側3o分)程度は余裕がある、という事もこの計算から
導き出せたりしますよ。
推奨しないのは、発進時にトルクカムが閉じる動作の余裕が0になり、半クラが無くなるといった
無段変速の駆動系にあるまじき状態になるのが最大の理由ですが、今回の変速比計測を行う場合に
ベルトかかり径がマジック線で測れないから、という至極単純な理由もあったりします(笑
今時はもはやそんな無茶苦茶をやらかしている方は少ないとは思いますが、無茶をやっていると
何をするにも不合理しか生まない、という事ですね…
そして、最大〜最小までの減速比の変化も、プーリースライドを仮に「1oずつ」加えてやっても段階的な
計算が出来、細かな変速比が求められます。
一例でプーリースライド量で1o刻みの変速比変化を下記に記してみますね。
「0o」の枠の数値はベルト芯線がかかっている「実」かかり径で、マジック計測値より4φをマイナスですね。(ピッチ円径)
そちらを用いて最大変速比を算出し、後は「15°の面角度のユニット」が「1oスライドするごとに3.73φ」ベルトかかり系が変化するといった法則にて変速比を段階的に算出しました。
こうやって見ると意外と面白いでしょ?(笑
加えて計算すれば、変速状態と速度の関連性も分かりやすいですね。
変速回転数が7000rpmで、タイヤが3.50-10、ファイナルギヤが10.912であればプーリーが5oストロークして
いる所まで加速した時、出ている速度は31km/h程度、といった事も簡単に計算出来ますよ。
駆動系の「変速比」の計測と算出
さて今回は、スクーター特有の機構とも言える無段変速CVTにおいての「変速比」といった物を
よくある表現で、「プーリーのベルト摺動面を全部使い切っている」とか、「ドライブ側ベルトの
ちなみに今回はやってる事や内容自体は大して難しくはありませんが、とても誤解を生みやすい点な上に
では最初に、スクーターのCVT機構の「変速比」とは何か、をご説明していきますね。
「減速比」と同じである
として扱っても良いでしょう。
「減速比」というモノはわざわざ解説する必要は無いかと思いますが…言葉通り回転数を減速させる為の
で、これが通常のバイクや車の様なトランスミッションが存在する場合だと、各ギヤにおいてはそれぞれ
が、スクーターの駆動系の場合、「ドライブユニットが何回転すればドリブンユニットが何回転するか」と
そしてこのサービスマニュアルにおける「変速比」ですが、これはローギヤ状態からハイギヤ状態までの
「減速比」が「変化」していくから「"変"速比」である
といった意味合いだと受け取っていますね。
が、ここで気をつけなければいけないのが、
「最大変速状態」の変速(減速)比は「最小」である
といった点です。
あくまでこれは減速比として見れば、ドライブ側ベルトかかり径が大きくなり、ドリブン側ベルトかかり径が、
…ちょっと分かりにくいかもしれませんが、基本的には
・最小変速(ローギヤ)状態=最大変速比
・最大変速(ハイギヤ)状態=最小変速比
という事になる、これを絶対に間違えない様にお気を付け下さい。
「2.850〜0.860」といった変速比があった場合、一切変速していない(最小変速状態)のローギヤの時は
ではここから、具体的な現車での変速比計測&計算方法を記していきますね。
そして大前提として、駆動系という物はVベルトがドライブ&ドリブンユニットの円盤に対して挟まれており
そして、このドライブ&ドリブン双方でのベルトかかり径を計測し、なおかつ変速比の把握を行う場合は
なので、ボスにワッシャーが追加されているとか、ノーマルと寸法の異なる社外のベルトや流用品が
そして、こういった計測を行う場合、出来れば少し車輌を走行させ、駆動系パーツやらベルトが適度に
「実回転計測」
にて行います。
これは言葉の通り、最小変速状態の駆動系そのものを「手動で」回転させてやるだけの
まず、計測は駆動系カバーを開け、ドライブ側ドリブン側双方に「基点」となる位置を取ります。
具体的には
・ドライブ側はドライブフェイスの一箇所とクランクケースにマジック等で合わせマークを記す
そして、ドライブフェイスには何回転させたかという点の目視での正確性を上げる為、十字の線を入れるのが
この様に、適当でも良いので十字線を2発書いておけば0.125回転程度の把握に役立ちます。
ドライブ側ユニットを何回転させれば
ドリブン側ユニットが1回転するか
仮にドライブ側ユニットを2.5回転させればドリブンユニットが1回転した、という事であれば、その場合の
そして、上記の写真では私のライブDio-ZXにノーマル構成のパーツを組み込んで実回転計測を行って
具体的には、ドライブユニットが2回転+十字線が6つ分、すなわち2.75回転ともう少しなのですが、
「サービスマニュアルにおける最大変速比の値との近似値が出る」
そしてこれは、私自身同様の手法で色々な車種を計測しましたが、この計測値でサービスマニュアル値に
さすがに0.3も0.4も狂ったりするのであれば、それは実回転計測によるドライブユニット1/3回転分にも
で、ちょっとだけ余談ですが…
手法としてはまずプーリーユニットを取り出し、WRとランププレート、ボスをプーリーにセットした状態にします。
その上で、
ボスの突出具合を計測する
で、これまた分かりやすい結果なのでホンダDio-ZX系のサンプルになりますが、プーリーの最大の
そして、このプーリースライド量計測で一番気を付けなければ行けない点は、
プーリーがドライブフェイスに当たった状態が「最大スライド状態」なのではなく
ドライブフェイス側の突起物や構成にもよりけりな上、ボスが「余る」のが
純正構成として基本になっているので、安易なスライド量のサバ読みは駄目
一般的呼称だとフェイスタッチ、と言うのでしょうか、その状態が全ての構成で起こりえている訳では
次に、最小変速状態にて実際にベルトがかかっている(巻きついている)「直径」をドライブ側&ドリブン側の
そしてこの方法も、ドライブ&ドリブン双方のベルトかかり径の計測として、前述の実回転計測法と同じく
具体的な手法としては、これは先端が極細のマジックを用意し、「ベルトが掛かっている外周部分の直径」を
…とはいってもこれは文面だけでは分かりづらいと思いますので一例をどうぞ。
車種によってはマジックはドライブユニットの下側から突っ込んだ方がやりやすいですが、この場合は
そして次に、ドリブン側のベルトかかり径も同様に行い、ベルトの外周部分のキワにマジックを沿わせて
ドリブン側のベルトかかり径は、元々のかかり径そのものが大きいのでドライブ側程はシビアになりません。
で、ドライブ側&ドリブン側双方にきちんと円を描いたらパーツを分解します。
なお、ドリブンユニット側の計測は、トルクカム部分を分解しお皿1枚になるまでバラしてからきちんと
ちなみにこれは今更言うまでもありませんが…ベルト最外周部分ががドリブンユニットの外周から
ドライブ側=42.3φ
ドリブン側=111.2φ
…で、ここからがこのベルトかかり径計測の最大のポイントなのでじっくりお読み下さい。
単純にマジック線計測値の「ドリブン側ベルトかかり径」÷「ドライブ側ベルトかかり径」
としてみると…この計算式だと解は111.2÷42.3=「2.628」になります。
が、ここですでにおかしい事にお気付きの方もおられるかと思いますが…それはこういう事ですね。
「ベルトかかり径」、すなわちベルト最外周部分が
かかっている部分の円の直径を
単純にドリブン側径÷ドライブ側径で割ってみても
先に計測した
と、こういった事実が浮かび上がってきます。
これ、単純比較すると実回転計測であれば最大変速比は「2.796」なのに、ベルトかかり径を取り
が、何故にこんな事が起こりえるのでしょうか?「実際に」手回しを行った目視ではしっかり2.8回転位の
もちろんこれからその理由をご説明して行きますが、先を読まれる前に皆さんにもちょっと頭をひねって
で、さくっと結論から述べますとですね…これってその理由としては
Vベルトという物は
その「側面」を使いプーリー等のベルト摺動面に対して
グリップする物であるが
「ベルト側面の上端部分」が
摺動面に対してグリップしている訳では無い
ちと文章では分かりづらい点もあるかと思いますが…Vベルトってのはその構造上、その側面を使って
とはいっても、Vベルトと摺動面双方にはテーパー角度がある為に、ベルトの側面部分がべったりと
そしてこの芯線、これは原付一種〜二種クラスのスクーター用途のVベルトであれば、おおむねベルトの
「ベルト側面の上面に一番近いカドの部分」ではなく
「上面から2o程度下がった側面部分で最大のグリップ力を発揮している」
これはベルト自体の設計がテーパー角度の付いている「Vベルト」だからこそであり、一見すると上面の
ちょっといつもの下手絵を描きましたが図で示すとこんな感じです。
ちょっと専門的な言葉を使うならば、ベルトかかり径を求める場合の「ピッチ円」となる接点部は
したがって、これを前述の最大変速比のベルトかかり径計測結果例に当てはめると
ドライブ側ベルトかかり径42.3φ → マイナス4φ=「38.3φ」
107.2÷38.3=「2.798」
なので、ここで初めて「最小変速状態」の「最大変速比」が正確に計測&算出&立証出来た訳ですね。
これってかなり勘違いしやすい点でして、ベルトかかり径を計測したとしても、ただそれだけでは実際の
確か過去にどこかで…ベルトかかり径に対し、ドライブ側は「ベルト底面側かかり径」でドリブン側は
なお私はこの計測法を過去色々なノーマル車(パーツ劣化無し状態前提)で行ってみましたが、
「実回転計測」と「ベルトかかり径計測+補正値」双方の値が
サービスマニュアル記載の最大変速比の値と
大幅にズレていた事がほとんど無い
そしてこのベルト芯線部分の「実ベルトかかり径」、すなわちピッチ円径となる点の部分ですが、これって
さて次は、ここまでの計測で「最大変速比」と「プーリースライド量」が判明したので、ここからは
まず、ここで大切な事は、「プーリーはボス上を横方向にスライドする動作をしている」という事であり、
となると…実回転計測&ベルトかかり径から算出した「最大変速比」の値とプーリーストローク量を双方
で、その面の角度があるプーリー本体が横方向にスライドしていきますが、ベルトの側面も同じ様に
「プーリーが横に○oスライドすれば、ベルトかかり径は○φ変化する」
ただしこれは前述のフェイス面と言いますかベルト摺動面の「面の角度」によりけりでして。
ちなみにホンダ系とスズキ系はこのあたりの「ベルト摺動面」は15°設定が基本なので、仮に横方向へ
あ、そういえば以前私、トルクカム中級編あたりのコンテンツで、ホンダのDio-ZXを例題に出しての
で、これまた先程の計測値を基にし、プーリースライド量を当てはめてみますと…
・最小変速状態でのドライブ側「実」ベルトかかり径=38.3φ
最小変速状態ではこうなっている物が、
・プーリースライド量=10.5o
ドライブ側は10.5o×3.73φ分ベルトかかり径が大きく
なので、10.5o×3.73φ=φとなり、この数値を双方へ加味すると
・最大変速状態でのドライブ側実ベルトかかり径=38.3+39.165φ=77.465φ
なおこれはベルト上面から2oの部分、−4φのグリッピングポイントでのベルトかかり径を基にした
計算としては
・68.035÷77.465=「0.878…」
で、サービスマニュアル値では最小変速比は「0.860」なのですが、さすがにこれは私も
・最大変速比
・プーリー横スライド量10.5o =3.73φ(摺動面15°の場合)×10.5o=「39.165φ」
・最小変速比
変速比「2.798〜0.878」
と、こうなるワケですね。
ちなみに「ベルト外周でのかかり径」は双方の解に+4φすれば良いので、プーリースライド量が10.5oの
ついでにもひとつ補足すると…私がドリブンユニットからベルトがはみ出てるとかの異常なセット状態を
まず、青い枠内の数値が、今回のライブDio-ZXのマジック計測でのベルトかかり径になります。
そしてこの表を見れば分かる様に、こうした段階的な変速比を算出してみると、
本来は「無段」変速と謳われているこのCVT機構が
通常のトランスミッションの段数と同じく
「段階的な減速比」で把握出来てしまう
そして、この数値に対して変速回転数やファイナルギヤの減速比、タイヤ外径(実走行潰れ補正込み)を