さてさて、今回はあまり小難しい理論的な事ではなく、ちょっとしたコラム形式っぽくしてタイトル通りの
お話を書き連ねてみようかと思います。
かなり基本的な事なのですが、ココを見られる皆さんが一番馴染みのあるであろう、2stエンジンに
ついての誤解、といいますか世間一般で言われている事柄に対してのツッコミ的な物を少しだけ
取り上げてみましょう。
とはいっても、別にこういう表記で無いといけないとか揚げ足を取るとか、そういった意味合いではなく
勘違いや誤解が出来るだけ少なくなれば良いな、といったコンセプトですのでよろしくです。
あ、これは基本的に2stスクーターに搭載されている、「2ストローク1サイクル・単気筒エンジン」に
ついての件になりますが、「決して4stではない」といった点を最初に記させて頂きますね。
※今回もページ内リンクの目次です。
・エンジンが「回る」という表現
さて、いきなりワケのわからんタイトルになりましたが(笑
これはですね、誤解…と言いますか単に表現の違いとも取れるものなのですが、そこまで厳密に
モノを言わずとも、2stエンジンという物の特性、性能を指し示す上では誤解が多くなっているのかも、と
私が思う事柄の一つである、という事でよろしくです。
が、これもエンジンで言えば圧縮比と圧縮圧力の違いみたいなもので、間違っていたらかなり
意味合いもイメージも異なってしまうという、致命的な点なのでまずここから解説してみましょう。
まず、「エンジンが回る」といった言葉については、皆さんご存知の通りでタコメーターの
数値を読み取り、「1分間にクランクシャフトが何回転しているか」を数値化した
値になっていますね。
これが大きければ大きい程、同一の時間内に「クランクシャフトが多く回っている」という事ですから
「よく回るエンジン」とかって表現をされ、高回転を維持出来るエンジンである、という事になります。
で…これはたまに、いやよく耳にするのですが、2stエンジンにおいての実走行でのエンジンの
回転数、れぼりゅーしょん・ぱー・みにっつを指し示して高い回転数だと「よく回る」と表現している
場合があるかと思います。
これってタコメーターが高い回転数、10000rpmとかを指し示している場合であれば確かにrpmと
しては低くはなく「高回転を維持しているエンジンである」といった事は間違い無いんですよね。
しかし、2stエンジンというモノは
回転数が高くなっていった場合
常にそれに比例した分の
大きなパワーを出せている訳ではない
と、これが基本中の基本になります。
他のコンテンツ、「エンジンの「トルク」と「馬力(パワー)」について」でも紹介していますが、2stエンジンは
燃焼室への混合気充填効率が最大となる「パワーバンド回転域」が存在しますから、その領域を
超えてエンジン回転数が上がっていってもパワーは右肩上がりにはならない、という事に他なりません。
原付クラスのノーマルスクーターならば、おおむね変速回転数として使えるパワーバンドとしては6000〜
7500rpm程度に設定されている事が多いですから、それをはるかに通り過ぎた8000や9000rpmで
加速出来る様にWRを調整したとしても、さっぱりパワーが無くてまとにも加速しませんよね。
(広義の意味で「使える」となればクラッチイン近辺の4000rpm〜からでもなんとかパワーバンドの
始まりではある、とは言えますがココで記しているのはあくまで最大効率の領域、という事です)
で、これを前提…と言いますか基本中の基本なのですが、ノーマルエンジンにて7000pm程度の
領域にパワーのピーク、すなわち最大出力発生回転数があるエンジンに対し、パワーUPを行おうと
している場合、「もっと回せばパワーを得られる」といった表現を耳にする事があります。
これって言葉尻では少しおかしく、単純にノーマルで常用している回転域より高い回転数にて
エンジンを使いたいのであれば、ノーマル車を持ってきてWRを3個抜いて捨てればそれだけで
よく回る様になるはずなのですよね(笑
しかし実際にはそんな事をしても「変速回転数」は上がりますがノーマルのパワーバンドを通り過ぎて
いるだけなので、いくらエンジンが回っていも「高出力」は発生していないといった実に単純な
結論になってしまいます。
そして、ここでちょっとだけ話を変えて4st単気筒のエンジンの話になりますが。
4st単気筒のスクーターというのも近年はたくさん普及していますが、これって駆動系そのものは
2stスクーターとそこまで大きくは変わらないシステムを搭載していますが、エンジン本体はまるで
別物であり、2回転に1回しか点火&燃焼していない「4ストローク1サイクルエンジン」になっています。
こういった4stスクーターのノーマル車の場合だと、基本的には2st車の様な明確にパワーが
大きな領域であるパワーバンドは明確には存在していません、と言いますか大前提として4stの
エンジンにはパワーバンドはありません。
と、ココで基本的な2stエンジンと4stエンジンの出力特性をグラフにしました。
いつもの下手絵ですが…青線が7〜8000rpm程度にピークが出ている2stエンジンで、ピンク(?)の線は
9000rpm程度までパワーが持続しそれ以降はレブリミットになる4stエンジンとしました。
これは分かりやすくする為に極端に記していますが、4stエンジンは回転数と出力値をグラフにすると
ある程度規則正しい右肩上がりのグラフを描く様なパワーカーブの特性になっている事が基本であり、
エンジンを破損しない様に設計時に決定されているレブリミット、すなわち点火カットの回転数までは
スムーズかつ「徐々に」パワーを出していくといった特性です。
(※2stの青線で一度パワーが落ち込んでいる所は混合気充填効率の悪い「谷」ですね)
4stはこういった仕様であるが為に、4stスクーターの場合だとノーマル装着のWRを多少軽くしてやり
数百回転以上上の回転域に変速回転数をセットしても、フルノーマルよりはパワーが出ており
ちょびっと加速力が上がる、といった事も珍しく無いんですね。
なお2stスクーターでもこれが適応される事はありますが、それはあくまで「ノーマルセッティングが
一番パワーの出ている回転数で変速していないから」なのはココを読まれる方々にはもはやご説明の
必要は無いかと思いますが一応補足です(汗
「手法」としてはどちらも同じですが、その「作用」については全く理由が異なる、と言えますね。
もちろん、4stスクーターはそのエンジン特性ゆえ、2stスクーターほど全開加速時のエンジン回転数、
すなわち変速回転数をピンポイントの一定に保たなくてもそれなりに走ってしまう為に、変速回転数が
そこまで厳密に一定にはされていない車種もありますが、だからといってノーマル車の変速回転数が
最大パワーを発揮しているわけではなく、実はレブリミット寸前の領域でもまだまだ高いパワーを
出している、といった事もあるんですね。
4stの原付一種スクーターだとレブリミッターは8000rpm程度ですが、これのレブリミットを開放してやり
8500rpmとかで変速させても、
2stエンジンのパワーバンドを超えた領域程に
パワーが落ち込む訳ではなく
意外とパワーが持続している事もある
が、だからといって仮にエンジンをチューンし、どんどんピストンを叩く力を強くしてクランク回転数=
エンジン回転数を高くしてやっても元の設計上での限界というモノはあり、多少であればバルブが
ぶっ壊れたりはしませんがある意味ではどこまで「上」を使ってもそれなりにパワーが持続してくれる、
といった方向性になるのが4stエンジンなんですね。
…もちろん実際はこんな単純なものではなく例外等はいくらでもありますがあくまで基本、という事です。
なので、こういった場合2stだとノーマルのパワーバンド領域よりさらに上、といった所になりますが、
4stではそうではなく要は「回しても」エンジンのパワーが落ちるどころか上がる場合がある、という意味に
なりますし、4stは基本的に全回転域においてピストンを叩く力がイコールでクランクシャフトを速く回す
力に正比例して変換されている、と表現してもさほど的外れでは無かったりしますよ。
だからこそ、パワーバンド領域を超えてしまった場合に途端にパワーが落ち込む2stエンジンの
場合だと、そういった所を使ってしまうのか?といった意味合いも含めた上でパワーを出す為に
「回していく」という表現はちとおかしい
…ここで私が何を言いたいかと申しますと、揚げ足取りLVではあるとは認識していますがその上で
言葉を選びますと、
「エンジンを回していく」という表現は
本来は4stエンジンに対しての表現であって
2stエンジンに単純に当てはめられる物では無い
別にこれは単なる言葉のアヤのLVではあるのですが、2stエンジンを高性能にしたい場合に
「エンジンを回せ!」というのは本来ちとおかしく、意味合いを厳密に表現するのであれば
「ノーマルよりは高い回転域にパワーバンド、ピークパワーを形作れ」
簡単に記しますと、ノーマルで設定されているパワーバンドよりも上や下を使って無理矢理に
走らせたところで高性能が得られる訳ではない、という事ですが、「2stを回せ」と表現されている
場合は、ノーマルのエンジン特性、すなわちパワーバンド領域をもっと「高回転側」に移行させる様に
エンジンというかチャンバーの特性を変更しろといった意味合いだと捉えるべきなんですよ。
そして、2stでも4stでも単純にクランクを速く回そうとすればピストンを叩く力、すなわち「燃焼圧力波」が
強くないといけないのですが、2stの場合はそれを強くしようとすれば、燃焼室内の混合気の
充填効率が一番良くなる回転域、すなわちパワーバンド内でしか大きく起こしようが無い、といった
点もあわせて考えてみるとよく分かるかと思いますよ。
だからこそ、2stエンジンの場合はいくら排気量や圧縮比がノーマルより+になっていたとしても、
それが最大に発揮されるのはチャンバーで決定される混合気充填効率が最高になる回転領域、
すなわちパワーバンド内がメインになる、という事になっていますよ。
後、それならば「排気量が大きくてピストンを叩く燃焼圧力波が強いならエンジン回転数そのものは
どこまででも上がるのか?」と思われる方もおられるかもしれませんが、このあたりについては多少
後述してみます。
と、ここまで書いてツッコミが入りそうな点に対して少し補足しておきますが。
先程、「2stエンジンの特性、パワーバンド領域をどこにするか決定付けるのはチャンバー」だと
記しましたが、それってポートタイミングも関係するんじゃ?と思われる方もおられるかと思います。
これはもちろんその通りでして、主に排気ポートタイミングに関しては、エンジン自体のパワーバンドの
変更、移動を行う場合にはそれなりの影響力があります。
しかし、その排気ポートタイミング変更でのパワーバンドの特性変更はあくまで「微調整」であり
大きなエンジン特性、パワーバンド領域がここからここまで、といった物を決定付けるのは
チャンバーの特性が一番、そして大半を占めています
当サイトの最初期のコンテンツにもこれは明記していますが、8割方はチャンバーの特性にて
エンジンの味付けが決まるのが2stエンジン、という物なんですね。
これは少し考えてみれば分かるのですが、フルノーマルの車輌を用意しまして、チャンバーは
当然ノーマルマフラーで、ピークは7000rpm程度に出ている車両だったとしましょう。
さて、この車輌を用いた上で、
「ノーマルマフラーのままで、ピークパワーの出る回転域を
12000rpm位に変更したい」
もしも排気ポートタイミングがエンジン特性のほぼ全てに対して支配力があるのであれば
ノーマルで7000rpm程度にピークの出ているエンジンとチャンバー(ノーマルマフラー)を、
チャンバー特性は変更せずにエンジン側の調整のみで5000rpmもピークパワーを「上」に
ずらさなければならないのですが…こんな事はいくら排気ポートタイミングを速めても
他をいじくっても絶対に不可能です、と断言して良いでしょう。
…私、昔そういった実験も行った事がありますが、実走行においてであればいくらエンジンを
いじくったとしてもノーマルマフラーでは「実走行でのオーバーレブを勘定に入れても」
10000rpmに到達させる事はまず無理で
もうパワーバンドから外れているどころの騒ぎでは無いのでエンジンは一杯一杯に惰性で回って
いるだけである、という点も補足させて頂きますね(笑
実走行で10000rpmに「到達」したからといってそこはパワーバンド内なのか?という事です。
2stエンジンでパワーバンドを超えた領域というのはもう惰性でだらだら回り続けているに近いと
いった解釈でも良いと私は考えていたり。
ちょっと話が専門的になりますが、ノーマルで仮にBBDC85°程度の排気タイミングでなおかつ
ノーマルマフラーが7000rpm程度にピークが出ている特性の場合だと、排気タイミングを速めて
いき5〜6°程度速めればピークパワーの出る領域の変化(移動)率、というのは結構大きく、車種にも
よりますが1000rpm程度は「上」にずらす事が出来るんですね。
が、これがBBDC95°を超えてきたりするともういくら速めてもほとんど特性に変化は無く、
前述通り仮にBBDCで120°まで速めれば10000rpmあたりにピークが出る、なんて事は絶対に
ありえないので。
なので、チャンバーで元々設定されているパワーバンド領域に対し、排気ポートのタイミングという物は
支配力はかなり低いものであり、あくまで元の特性に対する調整である、といった点も2stエンジンの
基本としては絶対に忘れてはいけないんですね。
とはいえ、これは世間でも言われている様に、排気タイミングはBBDC90°程度まではかなりの
変化率と高効率をもたらすのでその辺りが定番となっていますが、これが仮に元がBBDC80°の
タイミングのモノをBBDC85°まで速めても大して変化が無い、といったところも2stとしてかなり
面白い点だったりしますよ。
なお、元々ノーマルエンジンに装着して10000rpm程度にピークが出る特性のチャンバーを
使っている事が前提であれば、そこからポートタイミング調整等を行って12000rpm程度にまで
ピークパワー発生回転数を「ずらす」事は可能です。
こうやって微調整するのがポートタイミングによる特性変更の基本であり、極論を言ってしまえば
私のSSマシン用のチャンバーなんかは、「排気ポートタイミングがノーマルでもピークが出る
回転域は12000rpmより上になる様に作ってある」のですが、エンジンの特性をどうしたいか、と
いった明確なる指標に対し、チャンバーそのものの特性が自身の狙っている物では無い、という事が
あるとそれがエンジンの作り方にて一番辻褄が合わなくなる要因なのですよね。
ちなみに余談ですが、掃気ポートのタイミング、というモノはピークパワーの出る回転域の決定には
さして大きな影響はありません。
パワーバンドの広さやパワーの谷の深さ、もしくはパワーバンド内のパワーの大小を大きく
決定付ける物であり、これも排気タイミングと同じく○°位までは変化率が大きく、それを超えて
行くと排気タイミングとは違い大きくパワーダウンする傾向になったりしますね。
とはいえ、掃気タイミングは自由にいじくることはなかなか難しいので、現状がどの位であるかを
把握し、ノーマル比であまりにもかけ離れているかどうか、といった点を注意すれば良いでしょう。
ちなみにこれも世間ではBBDC60°程度がベターだと言われていますが、私に言わせればそれでは
高効率な混合気充填効率を目指そうとすればまだ遅いでしょう、といった点も付け加えさせておきますね。
そしてこの項目の最後のお話になりますが。
オーバーレブ、といった表現についても少々触れておきたいと思います。
伸ばしきっての回転数はパワー的にほとんど何のメリットも無い
まず、ここまで記してきた通り、2stエンジンの場合だと、実走行でオーバーレブ領域まで
スクーターの場合だと最大変速後はトップギヤ状態で変速比がロックされ、エンジン回転数の上限まで
回っていくのが基本ですが、その状態はとうにパワーバンドを通り越してパワーも低下し振動や
回転のバランスも悪くなっている部分で無理矢理走行させている、といった点を忘れてはいけません。
これが2stでは「オーバーレブ」と表現されますが、この意味合いも本来の4stのオーバーレブ、
すなわちバルブがぶち当たってしまう様な物理的に不味い設計上の回転数まで到達して
しまうのとは全く意味合いが異なっています。
4stの場合はエンブレの失敗等でやばい位の領域に到達してもいきなりはボン、とならない位の
余裕はメーカー側が持たせてありますが、物理的破損が起こりえるデンジャラスな領域としての
意味合いが強いはずです。
メーカー設計では4stだとそこまでは絶対に起こりえない許容範囲内で先に点火をカットしているのが
レブリミッターであり、ノーマル車輌がオーバーレブでボン、という事はまずありえませんが
2stのオーバーレブ、すなわちパワーバンドを超えた惰性で回っているだけの領域というのはいきなり
破損、とはなりませんがパワー的にはほぼ意味の無い回転領域であると解釈すべきですね。
そういった点を鑑みても、スクーターの場合だと特に、ですが全開加速を行う場合であれば
発進後に完全クラッチミートした後は最大変速するまでは「一定回転変速」ですよね。
これこそが無段変速であるスクーターの最大のメリットであり、加速中にパワーバンドを外れる
事もなく、なおかつオーバーレブ領域まで突っ込んでパワーロスする事も無い、といった点が
小排気量で余裕が無く、なおかつ2stというパワーの出方にばらつきのあるエンジンをかなり
有効に加速力使えるといった、素晴らしいシステムになっているんです。
なお余談ですが…2stで実走行でここまで回った、なんて言われたとしても、オーバーレブ領域での
伸びの特性の良いチャンバーとかだと、パワーバンドが終了するのが仮に9000rpm辺りだとしても
その後無理矢理引っ張っていけば10500rpm程度までなんとか到達する、なんてのも世の中には
あったりしましたから、そういったチャンバーの「特性」を表現する場合だと…
・9000rpm程度まで「ピークパワーが持続します」
・10500rpm程度まで「エンジンが回ります」
どっちも併記すれば当然その方が良いですが、いくつまで回った、なんて事が分かっても
アクセル全開加速時には一定回転変速のスクーターの場合だと、一番パワーの出ている
エンジン回転域はどこなんだよ、ってのが最初に分かっていれば非常に助かるんですよね。
基本的に市販品のチャンバーという物だと、競合他社に特性を読まれてはタマランですから
こういった特性の部分は表立って表記しないのが基本なので、あまりこういった特性表記には
馴染みの無い方も多いと思うのですが、本来ならばエンジンチューンを行うにあたって根本的に
特性を決定付けてしまうチャンバーの特性、というものはもっとはっきりさせるべきではある、と
私は思っているのですけれどね。
他の物に例えるならばボアアップキットで排気量が分かりません、キャブレターで口径が不明です、と
言ってるのと同じです(笑
後、これは以前どこかに記しましたが、その手の市販品チャンバーの特性を開発、発売元に
問い合わせたとして、「ノーマル、もしくはそれに近いポートタイミングのエンジンにくっつけた場合、
どの位の回転領域がパワーバンドになるのか、を答えられない所は信用しにくい」
それを本当に知らない、もしくは分からないのなら一体チャンバーを何だと思ってるんだ、としか思えませんし
同様に、特性を述べられるとしても○○rpmまで回ります、といった表現でもちと微妙であると
私は勝手に判断材料にしていますよ(笑
当然開発テストは必要ではありますが、基本的にまぐれ当たりを狙ってチャンバー作ってるのか?と(略
別にこれは、チャンバーくっつけた後で最高速度が○km/h伸びるのを保障しろ、なんて言ってる訳では
ありませんし、チャンバー、いやエンジンとして一番大切な特性なのにそれをぼかす、もしくは誤魔化すと
いった感じで捉えてしまいますからねえ。
実際には○○回転まで回る、といった事が事実であれば実際のパワーバンド上限はその数値の
500〜1000rpm程度下なのが基本ですが、中にはそうではない特性のチャンバーも存在しますからね。
なおこれも過去の経験ですがそういった所がはっきりしていなかった某メーカーがありまして、そこに
同じ特性の物をもう一つ欲しい、と言ったらなんと作れそうに無かった、という無茶苦茶な事もあったり
しましたし…私のいつも言ってる「同じ物を作れないのではそれはチューンとは言えない」というのを
見事に体現してくれてた、という事もあったりしま(以下略
…少年相手の子供騙しであればそんな感じでも追求なんてされないでしょうが、今の時代はもはや
いい歳ぶっこいた大人がいじくってる事の方が多いですし、いつまでもチャンバーの特性すら出さない
その風潮も、こういった2stエンジンの誤解といった物がはびこる要因の一環になっているのでは、と
私は昔から思ってたりしますけれどね(泣
何でも晒すのが良し、と言っている訳ではなく、本当に必要な物が隠されていたのではそりゃあ
いつまで経っても物事の改善にはなりません、ってね…
とまあ、一発目の部分からすでに結構長くなってしまいましたが(汗
ここいらへんの要点だけざっと述べれば、
2sエンジンをチューンする場合は
パワーバンド、ピークパワーを「どの位の領域に発生させるか」を
最初から決めて取り組む物である
なので、2stエンジンの場合、なんぞかんぞをいじくってノーマルより高い回転域にピークパワーが
出た、としてもそれが結果論ではいけない、とも言えますね。
もちろん最初から狙ってそれが出来る方なのであれば、こんなコンテンツを読むLVの方では無いと
思われますが、「2stエンジンを回していく」といった表現の裏にはこれだけ色々な事が詰まっており
勘違いを生む事のある言葉でもある、と再認識して頂ければ、とも。
そしてもう一つ、オーバーレブ領域と言いますか、2stで明確なパワーバンドの領域を超えてまだ
「上」の回転域を使って走る状態も、これはエンジンにとってはあまりよろしくはない、といった点も
挙げられます。
何故かと言いますと…絶対的に回転数が高い、クランク回転数やピストンスピードが速いといった
状態を維持している、という事が悪いのではなく、パワーバンドという物は混合気が燃焼して起こる
「燃焼圧力波」は最大もしくはそれに近い状態が起こっているものであり、その状態というのは
燃料消費やエンジン振動具合、各部の動作バランス的にも一番優れているといった状態に
なっているので、エンジンとしてはその状態を使う事こそが最大のハイバランスを発揮している、とも
言えるからなんですよ。
これはスクーターではなく、通常のギヤ付きの2stバイクであればパワーバンドを通り過ぎたあたりは
振動が出始める上にメカノイズ等も不必要にうるさくなってくる、といった事を経験された事がある方も
おられるかと思いますが、その状態はある意味ではパワーバンド直前の「谷」の領域を使って走って
いる様な感じ…とまでは言えませんがエンジン効率的には悪くなっている、と言っても良いので。
なので、例えばノーマルのZXではないDio等、スポーツグレードではない車種の場合だと、ノーマルで
変速回転数が一定とはなっていませんが7500rpm〜とかで変速していき、最大変速するのはほぼ
50km/h程度、そこから後の速度域は8000〜8500rpmとかまでどんどんエンジン回転数が上昇しながら
走行していっていますから、この手のスクーターで仮に60km/h程度の巡航を行っている場合だと
常にオーバーレブの無駄領域ばかりを使って走っている、という事に他なりませんから(笑
非ZX系統の車種ではノーマル車では8000rpmまで行けばどう見てもパワーバンドを超えきっていますし
こんな領域を維持して加速していっても効率の良い走行にはならない、というのは皆さんもよく
ご存知かなとも。
ココを読まれる方であればすでにご存知かとは思いますが、原付一種クラスの2stスクーターでも
時速60km/h程度の速度を出している状態、というものはかなり無理矢理に到達させている、とも
言えますからね。
こういうのも最初に記した「回している」といった走行状態には違いありませんが…
2stの場合はエンジン回転数が
どれだけ高い状態で維持されていても
それがパワーバンドの領域内で無い限りは
「エンジン効率」は良くはなっていない
が、これってスクーターの場合だと、下手に無段変速であるが為、効率の良い加速状態を得る為に
このパワーバンドをキープするといった事が余計に分かりづらい点もあるのである意味ではちと
問題なのですが…
変速中はパワーバンド以下の回転域を使ってぼちぼち加速していき、変速が終わった後の
エンジン回転数のみで速度が上昇していくおまけ範囲の加速段階にて始めてパワーバンドに入り
それなりの速度域から上だけが効率よくなっている、というのでは全く意味がありませんしね。
初心者の方にありがちなパターンですが、これを改善するにはやはりタコメーターを用いた上で
自分のエンジンのパワーバンド、パワーピークが一体どのあたりにあるのか、を把握していかないと
いつまで経ってもお勉強にならない上、体感をいくら重ねてもほとんど無意味であると断言しても
良いですからねえ…
もっとはっきり言えばタコメーターが無い状態でいくら経験を積んでもあまり役に立たないという事です。
それどころか阿呆の様な方向性に突き進んでしまう事の方が多いので…私もはるか以前であれば
タコメーターの必要性は無理には推しませんでしたが、今の時代はもはやそんなこと言ってる場合では
無い位におかしな理屈等が飛び交っていた、という事もあるので私はスクーターにタコメーターは必須で
ある、といったスタンスだという事も補足させて頂きますね。
と言いますかエンジン等を調整するのにタコメーターが要らない乗り物なんてまず無いでしょう、と(笑
4stならそれなりの分かりやすいエンジン特性の物が多いですが、2stの場合は車種を問わずそうは
行かないのが現実である、という点もご留意頂ければ、と思いますよ。
なお、何故にタコメーターが必要なのか、のポイントを一つ挙げるとすれば…
簡単なところでスクーターの場合、ビッグキャブをくっつけたり圧縮比を上げたりした場合には
WR重量を変更していなくても変速回転数が変化する場合があると。
これに尽きますね。
仮に50ccと90ccのノーマル車、双方に同じ重量のWRとセンタースプリングを入れたとしてもなかなか
同じ変速回転数にはなりませんし、現実はそんなに簡単では無いが故にこの辺りをしっかりと見極めて
いかないとダメである、という事で…
昔、たまに耳にしましたがエンジン仕様を一切換えず、ビッグキャブをくっつけてパワーそのものが
上がっているのに「唸って走らない」なんて状態があり、そりゃベルトを「引く力」が上がったのだから
トルクカムの作用力もUPし、今までと同じ重さのWRでは同一回転数での変速が出来ず、実際には
パワーバンドを通り越した状態で変速しているから、という実に単純な理屈だったりしますよ。
こういうイージーミスを防ぐ為にもタコメーターはやはり必須、という事で…
・「ボア径とストローク値」について
表題では「ボア径とストローク値」としていますが、まずはエンジンを構成する基本要素の一つとして
「ボア径」と「ストローク値」について少し触れてみますね。
(ボア半径×ボア半径×π)×ストローク値
といった単純な計算式になっていますが、このボアもストロークも大きければ大きい程に、双方を
掛け合わせたシリンダー内容積である「排気量」は大きくなるワケです。
この「排気量」というのはその字面通り、混合気の燃焼済みガスとなる燃えカスの量、をccといった
「量」で表現した物になります…なんて蛇足過ぎるのでこれはここで止めましょう(笑
ライブDio系ならボア径40φのストローク39.3o、ヤマハ系だと2JAとか3YKの50ccジョグ系だと
エンジンの縦横を問わず基本的にボア40φのストローク39.2oとなっていますね。
二種系だとリードの90でボア48φのストローク49.6o、JOGの90だとボア50φのストローク42oと、
車種によってさまざまなボアxストローク値の設定があります。
スクエアストローク構成に比べて上が回りづらい、もしくはトルクが出る、といった風聞といった
モノがあるか思います。
とはいってもこの「上が回る」といった表現は前述の通り、2stだと回転数が上がってどうこうといった
物では無いのですが、本来の意味合いとしてはクランクシャフトを「速く回す」傾向にはしづらいと
いった風聞だと私は認識していますね。
これってばかなり色々な要素が絡んでくるものでして、単純に同一排気量のエンジンにおいて
ボア径とストローク値の比率を多少変更しても、2stエンジンとしての特性、すなわち実際の
パワーバンドがどこからどこまで発生するのか、ピークは何回転くらいに出てくるのか、
はたまた「谷」の領域はどこにあるのか、なんて事はまず変わらないんですよ。
エンジンの8割方の特性を決めているものですから、多少ボアストローク比が
スクエア(1:1)から外れていたとしても、「特性としては支配的なレベルの変化には
ならない」
比べてもトルクが上にはならないのか、といった点を「簡単にだけ」後説明しておきます。
大切なのはそこではなく、構造的にストローク値を長く取ろうとした場合、丸いクランクウェブの
「中心点から遠い箇所」にコンロッドの大端ピン(ビッグエンド)を取り付ける必要がある
いう点なんですよ。
レシプロエンジンというモノはピストンの「上下運動」を「回転運動」に変換しているので、ピストンが
下げられる時にはコンロッドも押していき、その力にて円盤であるクランクウェブを回している、という
事なのですが…
これは物理的に、クランクシャフト回転中心軸部分からコンロッド大端ピンの中心点が遠い程、クランク
中心軸であるクランクシャフトには大きな力、すなわち軸トルクを発生させる事が出来ますね。
なっているんじゃないか、と思われる方もおられると思います。
この理論をおっしゃる方の場合、要は下図の様な事をイメージされていると思われますが…
いるとした場合、「クランク軸にいくつのトルクが発生するのか」をホント単純にだけ出してみました。
…識者の方であればここでツッコミもあるかと思いますがもうちょっとお付き合いをば(汗
同一である、といったエンジンを比較しています。
絵だとどっち側のピストンも同じですがそこは右が小さい、と脳内補完でお願いしますね(汗
ロングストローク仕様の方が「クランク中心軸からのウデが長い」からこそ、軸中心に対しては
「大きな軸トルク」が発生する…んですが、ここだけを解釈してみると「ロングストロークの場合だと
ショートストローク仕様に比べて軸トルクが増大している」というのは決して間違いではありません。
実際のエンジン構成だと、排気量が同じである事が絶対条件なので、ロングストローク仕様の
エンジンはショートストローク仕様のエンジンに対し、ピストン径すなわちボア径が小さいのが当然です。
チョイスしたとして、同一排気量の二種類のエンジン構成を仮定してみましょう。
で、この二種類のエンジン構成の場合、前述の様にロングストローク仕様である「B」の構成の場合、
「A」に比べて軸トルクは大きくなる傾向で無いとおかしい…というのがロングストロークがトルクが
出ている、といった理由の一環になっているかと思います。
同じである、といった前提なのですが…実はここに勘違いしてしまう最大の要因があります。
ピストンってのは径が異なれば、燃焼圧力波を受け止めるべきトップ部の表面積も異なる
はずですよね。
ここが最大のポイントでして…
本来はそうではなく、ピストン径が大きいと燃焼圧力波を受け止める効率も良くなるんです。
これは小難しいので割愛しますが、ざざっとだけ下図にまとめましたのでそちらをどうぞ↓
片方はボア×ストロークが「40φ×40o=50.265cc」、もう片方が「36φ×50o=50.893cc」となります。
で、この双方のエンジンのピストンに掛かっている燃焼圧力波、すなわち混合気の燃焼によって
発生する圧力の「波」
…ちなみに0.4MPaはあてずっぽうですが解としてはさしておかしな数値では無いのでとりあえずコレで(笑
計算が間違っていたら申し訳ありませんが、興味のある方はご自身で試算されても面白いかとも。
算出しないといけないのですが…図だけ見るとツッコミ所ありまくりですが、実際にはコンロッドの長さや
傾き具合等、様々な要素が絡むので、現実的にはピストンを押し下げる力=コンロッド大端部を回す力とは
100%はなりえはしませんが、とりあえずはそれは無視して双方のピストンの表面積に掛かる「力」を出します。
ちなみに計算式としては「力の大きさ=圧力×力を受ける面積」になりますね。
変換すると「51.256kg/cu」となります。
Nではなくkgならなんとかイメージも掴みやすいと思いますが…これを双方のピストン表面積にて
計算してみると、図中にある通り
…私も何故これがそうなるのか、なんて言われると物理的にそういうもんです、としか解説が
出来ないのですが、力の掛かり方とかってのは地球上に重力がある限りは覆したりは出来ない
物なのでそういうモノだと納得するしかない…のが私が数学があまり好きではない理由です(泣
差がある、といった事を前提とし、その力を前述した様にクランクのストロークに掛けてみましょう。
そうすると、左のエンジンは「大きな力を小さなストローク」で軸トルクに変換しており、右のエンジンは
それとは逆に、「小さな力を大きなストロークで軸トルク」に変換している訳です。
これは単純なるテコの原理とも言えるモノなのですが…これの解、すなわちクランクシャフト軸本体に
発生するエンジンのトルク値、「軸トルク」というモノの数値、これは
双方のエンジン共に変わらない値になる
んですよね。
もちろん単純に排気量が同一なだけでは同一の燃焼圧力波なんて出ない、というのは皆さんも
ご存知でしょうし、実際には加味する点はこんな単純な部分だけでは無いのでもっともっと
難しいのですが、大元の基本となる点の一つ、として認識頂ければと思います。
…と言いますかこれは私が解説せずともいろんな所に記されているモノですが(汗
40φx40oのエンジンと全く同じ排気量になる50oロングストローク仕様のエンジンのボア径は
「35.7771φx50o」となるので、これで計算してみると分かりますが
表面圧力値=0.4MPa×1005.31mu=402.1241N
=0.025m(25o)×402.124N=10.1788Nm=「1.0251kgf-m」
と言いますかならないと計算が間違っているというだけですが(笑
少なくとも現実の2st50ccノーマルではかなり難しい値ではある、といった点も付け加えさせて頂きますね(汗
本来は数値だけ見ると100ccの2st原付二種スクーターのエンジンでその位ですので(笑
とまあ、こんな感じで理論上ではボアxストローク比の変化ではエンジンの軸トルクは上がらないと
いった事になるのですが…これってば正直、試そうと思っても試しようがありませんし個人でそんな
超微細な変更なんてまず無理なので、実際の体感、なんて不可能だという点も付け加えておきます。
いう保障はありませんし、カタログスペックで見たとしてもクランク軸トルク値の比較だと、3YKのJOGで
あれば0.74kg-m、AF35ライブDio-ZXであれば0.81kg-mとなってますが。
…このニ車種だとストローク値がライブDioの方が0.1o長いだけで出力は同等ですが、これで実際には
JOGの方がトルクが低いのか?と言われれば全然そんな事は無いと感じるのは皆さんもご存知の
通りですよね?
いった物は確かにありますが、影響する点はもちろんそこいらだけでは無いですし、はっきり言いますと
カタログスペック等を睨み、これはボアストローク比がこうだからこういう傾向になるのでは、と
いったお話もよく耳にしますが、そんなのは正直、素人分析で言っていても何もメリットは無いと
私は考えていますし、そんな要点ではない事ばかり気にしていると本当に大切な点を見失う、と
いうのはエンジンに限らず何でも同じですしね。
ストロークを伸ばし排気量を上げた場合において、「ロングストロークだからまったりした」とか
私の嫌いな言い回しの「トルク型特性になった」という感想ってたまに耳にしましたが。
そんなもんは私に言わせると、腰上そのもののポートタイミングやら圧縮比やらスキッシュ
クリアランスやらが「元の状態」に比べて無茶苦茶になっているからだ、といったパターンが
多いと分析していますね。
しまった部分の辻褄を合わせていないが為に起こる「性能ダウン」の言い訳に
なってしまっているだけ
適当にセットするだけでは絶対に真っ当な、どころか元のエンジンの基本特性と同じところにすら持って
いけない物なので。
そもそもストローク量を変化させた場合、色々な所が狂いまくるのが基本なので、そういった点を
変更前と同一の特性にした上で無いと、ストローク量変化のみの差なんて判断出来ないと
いう事です。
仮に圧縮比がかなりダウンしてポートタイミングがかなり速くなっているのにも関わらず、そんな状態で
ストロークの変更「だけ」を性能的に判断出来るかといえば絶対に不可能なので。
ボア径を変更しないならば、せめて排気量のみの変更に留めて試してみたいものですしね。
頂きたく思いますが、そっちのコンテンツの中の計算ツールでストローク値とピストン位置等を変えて
試算すれば、大幅にストローク値を変更した場合だと適当な調整ではまず辻褄が合わない、という事も
分かるかと思います。
2stエンジンというモノは見た目のシンプルさや単純構造とは違い、動作メカニズムはそんな簡単な
物では無い、というのはいつも言ってる通りですしね。
合っていないとパワーアップどころかパワーダウンする上に、「下」だけが強くなってパワーバンドは
ボケまくり、パワーピーク発生回転数も下がってしまうとなれば何の意味もありませんし、それでは
一体何を目指してチューンしているのか分からなくなってしまいますから…
ストロークUPに対しての辻褄合わせ、というのも簡単では無いという事は明言させて頂きますね。
しかもそういった無理無茶を施し、結果的にもっさりエンジンになったのをトルク型って表現するのも
私は好きではない、というのは言うまでも(以下略
・ピストンの重量等のお話
ボアxストローク比の無意味さ…とまでは言いませんが市販車ベースでの改良レベルではあまり
加味しすぎても意味が無い、といった点はお分かり頂けたかと思いますが、ついでにもうひとつ
基本的なお話を記しておきたく思います。
長いとその分、クランクシャフトが同一回転であればピストンスピードも速くなりますから、ロスといった
点では軽ければ軽い方がスムーズに動作する上、2st的にチャンバーとエンジンの特性にて、高回転で
ピークパワーを発生させようとする場合には軽い方が有利になってきますね。
「同じ力」であれば50gの物を高速運動させるよりも100gの物を高速運動させる方が動かしづらく速度も
高まらない、という事です。
ストローク値が同一でボア径のみが異なるエンジンといった物をイメージしてみて下さいな。
仮にストロークが双方とも40mmで、ボア径が40φと50φであれば排気量は当然異なってきますが、
この双方のエンジンの「ボア:ストローク比」はこうなっています。
スクエアストロークの範疇に入るので、50φx40oだとスクエアとはいえず間違いなくショートストローク
傾向のある構成になりますね。
ある方が高回転高出力型に向いている」といった点がありますが、これを鵜呑みにして単純に上記の
エンジン構成を比べると、50φx40oの方が「高回転型にしやすいのか?」とも取れる訳です。
ボアストローク比がショートストローク傾向だからといって、元のエンジンより高回転に向いているのか、と
言えばそんな事はありえないんですよね(笑
こうやって見ても重さが違いそうだ、というのは分かるかと思いますが、実際には40φが約74gで50φは約122gですね。
ちなみに他の51φというのもそばにありましたがこれだと150gあったりします(笑
下手すると排気量が倍違えばピストン重量も倍くらい違う物だったり。
とまあ、これは純正品で同一メーカー品の比較なので分かりやすいかと思いますが、これだけの
重量差があれば、仮にピストンを叩く燃焼圧力波が「同一」であったとしてもいくらボアストロークが
ショートストローク気味になっていてもそんなモン関係ないどころか意味すらないんですよね。
お気付きかと思いますが、こういった比較を行う場合、排気量が同一でないと何の
比較にもならない
すれば排気量はかなり上がるので、ボアストローク比の単純比較にはなりえません。
(スクーターにはあまり関係ありませんが、あえて言えば「気筒数」も同一でないと駄目でしょう)
固定観念を持って頂きたくないからこそ
いう事を再確認して頂ければ、と思った次第ですよ。
ボアアップのみを行えばショートストローク傾向のエンジンになって高回転が有利になるのか?と(笑
ホント、世の中に溢れている「言葉」ってのはイメージ次第でどうとでも取れますし、それが大きな
曲解の元になっている事なんていくらでもある、というのが今回のコンテンツのコンセプトなので…
次にちょっとだけ補足ですが、上記の様なでかくて重いピストンっていくらでも存在するのですが、
実際には、ピストンがでかくて重くとも、排気量が大きければ大きな燃焼圧力波を生み出せるので、
重たいピストンでも「強く」叩いて「速く」動かせるんですね。
大排気量の2st…と言いますか単気筒分だと125ccとか200cc程度が事実上の限度ですが、そういった
エンジンのピストンだと50ccの物とは比べ物にならない位に重たいですが、ちゃんとそれを強く叩いて
速く動かせる燃焼圧力波を発生するので、12000rpmにピークを出す事も別に難しい訳では無い、と
いうだけの話なんですよね。(当然チャンバーがそういう特性である事も前提です)
もちろん、こういった基本設計的な部分では表題のボアストローク比の差も最初から考慮されては
いますんで、素人レベルでああだこうだと言ってもほぼ意味が無い、というのは言うまでもありません。
2st二種スクーターのエンジン特性の話になったんですね。
それがたまたまボアよりストローク値が長い車種でして、相手さんはその車種の新車インプレとして
この車種はロングストローク傾向があるから、2st一種の様にはきびきびしてないと
いった感想だったのですが、そりゃあ違うでしょう、という突っ込みになりましたよ(笑
あったのですが、対比的にはほぼスクエアですし、実際には二種ならではのポートタイミングの遅さや
圧縮比の低さ等で、「本来の排気量なりのパワーを出していないだけ」なんですよね。
メーカー側は日常の足となる2stスクーターにそんなハイパワーを付与する意味が無いので当然の
設計ではありますし、こういうのは別に手を抜いてる設計では無いですから…
考えず、勝手な自己解釈にてストロークが長いから、といった理由に帰結してしまっているという
よろしくないパターンなのですが、こういうのも知識としてロングストロークならうんたら、といった
事を下手に知っていると無理矢理なこじつけになる、とも言えるんですね…
その一端を担っており、ノーマル二種で6000rpm程度にピークが出ている物のポートタイミングを
変更し、一種並みの7000rpm程度でピークを出そうとすれば、単にポートタイミングを速めるだけでは
不可能で、排気ポート弦長を広げるなり圧縮比を上げるなりし、「重いピストンを速く
そして強く動かせるだけの燃焼圧力波」を発生させてやらねばいけない
(※「特性変更」の為に排気ポート弦長をいじらずタイミングだけを速めても上手く行きづらいです)
排気量が大きいだけで、実際の燃焼圧力波は排気量なりにも出ていないどころかノーマルよりも
ダウンしている可能性もある、という(笑
ここを読まれている皆さんであればそんな事は当然のごとくご存知かと思いますが、そんなモノでは
ピストンを強く叩き、クランクを速く強く回すというエンジンの根本的な効率UPは出来ない、という事に
他なりませんからね。
二種のノーマルエンジンに高効率を求めて社外品チャンバーをくっつけても、一種程にはパワー効率の
改善が望めないのもこのあたりに理由があったりしますよ。
(これに関してはチャンバー設計がザルだから、という場合も多々ありますが…)
ピークパワー発生回転数を「移動させる」事が出来ない程キャパの無い設計ではない、と断言しても
良いです。
これは「そこまで到達した」のではなく「そこが一番美味しいパワーを出している領域」であるというのは
前述した通りで、そこまで「回っただけ」なのでは無いという点も誤解無き様にお願いしますね。
個人的経験ではホンダヤマハスズキ、一通りの国産2st二種ではどれも例外は無かったですよ。
いうのは何かしらの齟齬があるからこそ上手く行かないのであり、決してストロークがどうこうとか
ピストンが重すぎるから、といったピンポイントな理由で上手くいかない事はほとんど無い、と断言します。
ちゃんとやる事をやればピークを1000rpm程度上に移動させ、キャブエアクリマフラー全てが無加工で
あっても排気量なりのパワーと2st一種スクーターの様な特性は出せますという事で…
とまあ、ピストンの重量に関しては、大きな燃焼圧力波を生み出そうとすれば大きなピストンが必要に
なりますが、ピストンを速く動かそうとすれば軽い方が有利になる、というのは二律背反でして、これを
高次元のバランスでこしらえてきているのがバイクメーカーさんである、という事です。
わざと崩していく」事に他なりませんから、一度崩したモノのバランスは再度取ってやらねばまず
ノーマルの効率を上回る事など不可能である、と…
基本として、パーツの耐久性を削ってパワー効率に変換するのがパワーアップの大前提ですが、
だからといって見せ掛けだけの排気量が上がっているだけとか、そういったバランス面をほっぽっていては
高効率には繋がりませんし、これも何度も言ってますが2stってのはそんなに簡単ではありませんしね。
このあたりの事柄を頭の片隅に入れて頂きつつ、このコンテンツ最後の項目へと進んで下さいな。
さてさて、次はある程度基本となる部分のお話になります。
まず、このあたりはご説明の必要も無いと思いますがエンジンにまず「排気量」があり、それは
で、これが例えばAF18系エンジン搭載のDio系ならばボア径39φのストローク41.4o、AF34系の
で、このストローク値ですがこれはまずこの値が長い、ストロークが長いエンジン構成の場合だと
で、こういった風聞と言いますか理論は…最初に記しておきたく思いますが
2st単気筒エンジンの場合にのみ限って言えば
ボア径とストローク値の数値的対比、すなわち
「ボアストローク比」はエンジン特性にはほとんど影響しない
…これは「そんな訳ねーだろ!」と思われる方もおられるかと思いますが…
これは先程のコーナーでも述べた通り、2stエンジンというモノはまずチャンバー特性が
でもって、ここで少しだけ何故にストローク値が長いエンジンだとショートストロークのエンジンに
まず、ストローク値というものは「ピストンの上死点から下死点までの移動距離」なのですが…
と、これだけを解説すればやっぱしスモールボア&ロングストローク構成の方が軸トルクが出やすく
とまあ、これはコンロッド大端部のクランクピンの中心点には「40kgf」の力が掛かって
これはあくまで排気量が同一、すなわち「混合気の燃焼圧力波がコンロッド大端部を叩く力」が
で、燃焼圧力波が「40kgf」の力でコンロッド大端ピンを押している、といった場合だと仮定すれば、
ですが…これはあくまでコンロッドの大端部が「双方共に同じ力で押された場合」です。
ではここで、先程の40oと50oのストロークのエンジンに対し、排気量が同一になる様なピストンを
・A:40φx40o=50.2cc
・B:36φx50o=50.8cc
その上、ピストンを叩いて押し下げ、コンロッド大端部に伝わる「燃焼圧力波」もどちらも
燃焼室内で発生するピストンを叩く力、「燃焼圧力波」が同一だとしても
ピストントップの表面積が異なっていると、「同一の力」ではピストンを押し下げていない
上の図では便宜上、コンロッド大端部に働く力が燃焼圧力波と同等として記していますが、
…端折りまくって申し訳ありませんが、おおむねどちらも排気量が「50cc」位となるエンジン構成にて、
そして、その燃焼圧力波がピストンを押し下げ、コンロッド大端部に掛けられる「力」というモノを少し
これが左のエンジンでは「0.4MPax1256.637mu=.502.654N(ニュートン)」となりますが、これをkgに
表面に掛かる「圧力」が同等でも、ピストンを押し下げるべき「力」は
表面積、すなわちピストン径が大きな方が「大きな力」になっている
とまあ、そんな事は置いておいても…そのコンロッド大端部に掛かる力、というものが双方のエンジンで
…なので、結局のところここで私が何を言いたいかと申しますと、
排気量が同一、すなわち混合気の「燃焼圧力波」が同一だとした場合
ボア×ストロークの比率に関わらず、クランクシャフトに発生する軸トルクは
同一の値になるので、ボアストローク比の違いでどちらが「トルクがある」と
いった表現は好ましくない
ちなみに上の図だと排気量が異なるので実質のクランク軸トルクは同一値にはなっていませんが
35.7771φx50o=50.265cc 35.7771φ表面積1005.31mu
と、クランク軸トルクは40φ×40oの50.265ccエンジンと同等になる訳です。
…ちなみに余談ですが、これは50ccのエンジンでクランク軸トルクが1kgf-mとか出ているので
とはいえ…エンジンにもよりけりですが同一排気量であれば全く燃焼圧力波が同等になっていると
このボアとストロークの関連性、といった物、風聞としては前述の様な特性変化があってしかるべきと
ボアxストローク値の比によるエンジン特性がどうこう、という点は
素人レベルで論じたり、考察してもほとんど無意味であって
メーカー開発の技術者レベルで無い限り、実際のエンジン運用に対し
変化を考察したり加味すべき点を求めてもほぼ無駄である
…それと、私的経験ではありますが単なる普通の2stエンジンをクランクシャフト交換にて行い
ものすごく言葉を悪く表現すれば、ストローク値が変化し、「元の状態」の特性と変わって
このあたりに関しては他のコンテンツの、「2ストエンジンのポート計測方法等」も参照して
…ストロークUPすると排気量そのものは増大しますが、だからといって他の様々な点がちゃんと
さてさて…いいかげん長くなってきましたがここいらへんで次のお話に進みましょう(汗
まずは「ピストンの重量」なのですが…これは高速で往復運動を行う物ですし、ストローク値が
で…前述のボアストローク値の違い、といった物のみに限ってひとつ極端な例を出してみますと…
・40φx40o=「1:1」
・50φx40o=「1.25:1」
と、カンの良い皆さんであればすでにお気付きかと思いますが、俗説の一つである「ショートストローク傾向で
が…単純に物体の構成のみでモノを考えると、50φとなったピストンだと当然重量も重くなるワケでして、
たまには画像を出しますがそのへんにあった40φと50φのピストンです。
これはあくまで言葉尻の揚げ足を取った比較である、というのはここまで読まれた皆さんであれば
これはあくまで、言葉尻だけをイメージしたショートストロークであれば高回転型に有利といった
ここでひとつ例を出しますが…私以前、フルノーマルの2stスクーターの特性に対して人と話をしていた時、
これ、カタログスペックだけ見れば確かにボア径よりストローク値の方が上回っている車種では
こういっては何ですが、「本当にそのノーマル特性になっている要因」といった物をあまり深く
で、これってば一種ならともかく二種では基本とも言える傾向ですが、ピストンが重ったるい等の理由も
…なので、よくあるうんこみたいな社外品のボアアップキットなんかもこれにあたり、寸法としての
ちなみに2st二種系のノーマルマフラーは、ポートタイミングを調整してもたかだが1000rpm程度「上」に
これは自画自賛を承知で言いますが、二種だから、ボアアップだから軽やかなエンジンにならない、と
いつも言ってますが、チューニングを行うというのは「それなりに取れているノーマルエンジンのバランスを